【土地の値段は一物五価とは?】目安となる相続税対策を解説

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土地の評価は一物五価

日本の相続財産額に占める割合は、土地がトップ。近頃では、現⾦・預貯⾦等が増えているとは言え、国税庁『令和2年分 相続税の申告事績の概要』によると、相続財産の⾦額の構成は土地34.7%、現⾦・預貯⾦等33.9%、有価証券14.8%、家屋5.3%、その他11.3%と、依然、土地が最多です。この土地の値段には、「一物五価」と言われる5種類の基準があります。

なぜ日本の相続財産は土地が多いのか

ところで、なぜ土地が相続財産の多くを占めるのでしょう?皆さまも、「土地神話」という言葉を聞いたことがあるかと思います。「土地神話」は、昭和61(1986)年から平成2(1990)年頃にかけての、バブル経済期に誕生した言葉と言われます。土地の価格は必ず値上がりするので、財産として保有していて損はないと信じられていた、まさに神話のような概念です。

日本のバブル経済、その発端は昭和60(1985)年の「プラザ合意」と言われています。G5(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス)は外国為替市場での協調介入、協調行動に合意。実質的には、貿易赤字と財政赤字のいわゆる「双子の赤字」を抱える、アメリカの過度なドル高の是正を図るのが目的でした。

そのため、円は1ドル240円から1年後には150円台までになり、急激な円高が進行して輸出が減り、日本の景気は減退し始めました。この対応策として、日本政府は内需拡大を図り、公共投資を推進。日本銀行は公定歩合の引き下げを行い、金融緩和を実施したため、企業や個人が金融機関からの融資を受けやすくなりました。その資金が株式投資や土地投資に流れ、「不動産ブーム」となったのです。

しかし、地価が高騰し過ぎたため、平成4(1992)年、政府は「地価税」を創設。その年の1月1日時点において、一定規模以上の土地を所有している法人や個人に課せられることとなりました。ほどなくバブル崩壊の影響により地価は下がり、土地取引も減少したため、平成10(1998)年の税制改正で「地価税」の課税は停止されました。

現在、低・未利用土地や所有者不明土地などの空き地・空き家の多くが、バブル崩壊後の地価下落に伴う不良債権や、少子化による人口減少が関連していると言われています。

もちろん、相続土地の多くは居住用宅地です。「親の住む家がある土地を相続」というのが一般的でしょう。特に土地の評価額が高い首都圏では、相続財産額に占める土地の割合が多くなっています。「うちは資産家じゃないから、相続税対策なんて必要ないよ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、マンションの区分所有地を含め、自宅の土地は相続財産に含まれます


※出典:東京国税局『令和2年分 相続税の申告事績の概要

「一物五価」とは?

そもそも「不動産」は読んで字のごとく、「動かすことのできない財産」です。逆を考えるとわかりやすいのですが、預貯金などの「動産」は、金融機関口座から入出金したり、送金したりと、動かすことができます。

「不動産」という言葉が登場したのは、明治の初め頃とされています。米で「年貢」を納めた江戸時代から明治時代に変わり、土地には「地租」という税金が賦課されるようになりました。明治6(1873)年の「地租改正条例」で封建的な土地所有権制限は解除され、土地の利用や売買は個人の自由となり、土地の評価額である「地価」も重視されるようになったのです。

現在、土地評価に用いられる基準は5種類あり、一つの物に五つの評価があることから「一物五価」と呼ばれます。5種類の土地評価基準は「地価公示(公示価格)」「相続税路線価」「固定資産税路線価」「基準地価」「実勢価格」です。それぞれ用いられ方、公表元や公表時期が異なりますので、わかりやすく一覧表にしました。

種別 用途・目的などの概要 公表時期
地価公示(公示価格) 地価公示法に基づいた、標準地1㎡あたりの公的地価のこと。ほかの4つの地価の基準にもなる。毎年1月1日時点の価格を、国土交通省の土地鑑定委員会が公表。 毎年3月下旬
相続税路線価 相続税や贈与税の算定基準となる、路線(道路)に面した基準地1㎡あたりの評価額のこと。毎年1月1日時点の価格を、国税庁が公表。 毎年7月1日
固定資産税路線価 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算定基準となる、路線(道路)に面した基準地1㎡あたりの評価額のこと。基準年度の前年1月1日の価格を、3年に1回、市区町村(東京23区は東京都)が公表。 3年ごと4月初旬
基準地価 全国2万ヵ所以上の基準地1㎡あたりの標準価格のこと。国土利用計画法に基づき、都道府県や政令指定都市が土地取引規制で価格審査の基準として用いるほか、基準地周辺の土地取引価格の目安にもなる。毎年7月1日時点の価格が公表され、調査主体は各都道府県だが、国土交通サイトでも確認できる。 毎年9月20日頃
実勢価格 不動産市場で実際に土地などを取引する際に売買されている価格のこと。不動産事業者のほか、国土交通省土地総合情報システムでも確認できる。 ほぼ毎日(不定期)

このうち、相続税の申告・納税をする際に最も重要なのは、もちろん「相続税路線価」ですが、そのほかの地価も相続に無関係とは言えません。その理由と関連性について、次項でご説明しましょう。

「相続税路線価」について詳しくは、相続税路線価とは?調べ方や見方、計算方法を紹介のコラムもご参照ください。

「相続税路線価」以外にも注目すべき理由

相続に関して、「相続税路線価」以外の地価を考慮しなければいけない例を挙げてみましょう。

●子どものうちの一人に「土地」を相続させようと考えている場合

複数のお子さんがいる場合、例えば、事業を引き継ぐ予定の長男には「自社株」を、同居する長女には「自宅」を、独立している次男には「預貯金」を……というようなプランをお持ちの親御さんもいらっしゃるでしょう。

ところで、令和2(2020)年までインバウンド需要などの好影響で全国的に上昇傾向にあった「地価公示(公示価格)」ですが、コロナ禍で令和3(2021)年には下落。令和4(2022)年、2年ぶりにプラスに転じました。前項でも述べたように、「地価公示」価格は、「相続税路線価」を含め、ほかの4つの地価の基準となる地価です。

このまま地価の上昇が続くと、どうでしょう?「自宅」の土地を相続する長女の相続額が上回り、長男や次男に不満は生まれないでしょうか?あるいは、地価が下落し続ければ、逆の可能性も考えられます。相続人である子どもの法定相続分は、均等に分割することが民法にも定められています。

このように、「地価公示」が相続プラン変更の目安になることもあります。「地価公示」は一般社団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップで確認できますから、子どもたちの相続額に不公平が生まれないか確かめておきましょう。ほかにも所有している不動産があれば売却して現金化しておく、あるいは有価証券があれば現金化しておく、子どもを死亡保険金の受取人にする……過不足を補える対策はいろいろあります。

●「相続税路線価」が不動産市場価格と大幅にかい離している場合

「相続税路線価」は、「地価公示」の8割程度に設定されています。ですから、相続した土地が路線価に指定されている地域にあれば、通常は「相続税路線価」で評価し、相続税申告すれば問題ありません。

しかし、先頃、注目を集めた「タワマン裁判」のように、不動産市場での「実勢価格」が高額で「相続税路線価」を大幅に上回る場合は、注意が必要です。税務調査の対象とならないよう、相続税申告の前に「実勢価格」を確認しておくべきでしょう。

「タワマン裁判」について詳しくは、【速報】「タワマン裁判」国税側が最高裁勝訴!節税対策に逆風【タワマン裁判】相続人敗訴理由を税理士が解説をご参照ください。

また逆に、相続した土地が路線価地域にあっても、「相続税路線価」のほうが「実勢価格」よりも高くなってしまう場合があります。同じ道路に面する土地でも、帯状地であったり、旗竿地であったり、道路からの出入りに階段での上り下りが必要であったりする場合です。

このような整形地でない土地は、不動産市場でも売買しにくいため、「実勢価格」が低くなります。こういうケースでは、不動産鑑定士に鑑定してもらい、不動産鑑定証明書を添えて「実勢価格」で申告することが可能です。「相続税路線価」で評価し、相続税を多く払い過ぎてしまったと後から気づいた場合でも、申告期限から5年以内であれば、「更正の請求」によって還付を受けることが可能です。

●土地の相続税を「物納」で納めるか、「売却金」で納めるか、迷う場合

国税は、原則として金銭で納税することとなっています。しかし、土地のほかに相続財産がほとんどない場合、納税資金をどうするかが問題です。

納税を最長20年間で分割して払う「延納」という方法もありますが、資金繰りの当てがなければ、金融機関などから「借金」して納めるか、土地そのものを「物納」するか、その土地を「売却」して現金化して納めるか……。余程その土地を利用すべき理由がない限り、多くの方にとって「借金」は避けたい選択肢でしょう。

「物納」する際の土地の価格は、原則、「相続税路線価」です。「物納」を利用する場合、物納額は特例適用後の価格となります。「小規模宅地等の特例」なども考慮して算出しますから、納税額は低く抑えられます。「物納」の申請は相続開始の翌日から10ヵ月以内。「物納」申請書類の提出期限は、最長で申告期限から1年延長できます。

土地を「売却」して納税資金とする場合は、もちろん「実勢価格」です。相続税評価額より高く売れる可能性もありますが、譲渡所得税が発生し、住民税などの対象となります。不動産屋へ支払う仲介手数料なども要します。納税期限は相続開始の翌日から10ヵ月以内ですから、あまり時間がありません。

このほかにも、相続には「相続税路線価」以外の地価を目安として、計算したり、比較検討したりが必要な場合があります。相続は、被相続人と相続人の関係、相続人数、相続財産額……など、ケース・バイ・ケースで節税対策や相続プランも異なります。また、土地も同じ路線価地域にあったとしても、その土地の個性によってさまざまです。

当相続税理士法人は特に土地評価において年間約8,880ヵ所の実績がございます。相続土地に関する豊富な知識と経験には、多くのお客さまからご信頼をいただいております。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • 相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。
    払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

    特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

    相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。
    そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

    当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。
    こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

    今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。
    初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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