「資産家の相続税額」とは!メリー氏ジャニーズ株だけでも240億円超?!

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メリー氏ジャニーズ株だけでも240億円超え?

令和3(2021)年8月14日、株式会社ジャニーズ事務所の名誉会長・メリー喜多川(本名:藤島メリー泰子)氏がお亡くなりになりました。ジャニーズ草創期から実弟・ジャニー喜多川(本名:喜多川擴)氏を支え、日本を代表する芸能プロダクションに育て上げた実業家の突然の訃報に、心よりご冥福をお祈りします。

「ジャニーズの母」メリー喜多川氏の年収や資産は…?

バーイメージ
「ジャニーズの女帝」とも呼ばれたメリー氏。昭和2(1927)年12月26日、米国ロサンゼルスのリトルトーキョーにある高野山真言宗米国別院の僧侶・喜多川諦道の長女として誕生した、日系二世です。

1950年代の後半、カウンターバー『スポット』を東京の四谷三丁目で開業し、経営者としての道へ踏み出しました。しかし、昭和37(1962)年6月、末弟であるジャニー氏がジャニーズ事務所を立ち上げると、メリー氏も『スポット』を閉店し、事務所の経理を担当するようになりました。

以来、姉弟の二人三脚で、ジャニーズ事務所を名実ともに国内トップクラスの芸能事務所へと成長させ、日本の芸能界の発展に貢献してきました。長年、取締役副社長を務め、その後、代表取締役会長に就任しましたが、令和元(2019)年、ジャニー氏の他界後は代表権(※)のない名誉会長に退かれました

※代表権:企業の代表として社外に対する会社取引や業務を遂行する法律上の権限のこと。

メリー氏の年収は明らかにされていませんが、9億円は下らないだろうといわれてきました。自宅住所も公表されてはいませんが、都内にある超高級「億ション」ではないかといわれています。某有名ベテラン女優が皇室関係の式典出席のために乗ったロールスロイスはメリー氏が貸し出したとされていますし、愛車は超高級車・マイバッハと知られています。

こうなると、気になるのが遺産額とその相続税額です。特に気になるのが、グループ会社全体で年商1,000億円超というジャニーズ事務所株の評価額でしょう。そこで、芸能ニュースとは少々異なる視点で、相続税専門の税理士という立場からメリー氏の保有株について考察してみました。

ジャニーズ事務所株の評価総額は4,300億円越え!

株式会社ジャニーズ事務所(英文商号:Johnny&Associates,Inc.)は、同族経営の非公開・非上場会社です。13ほどの子会社を傘下に収めるグループ企業でもあります。

「非公開会社」とは

「株式譲渡制限会社」とも呼ばれ、経営支配権の奪取などのリスクを避けるため株式の公開をしていない会社のことです。譲渡制限事項の定めが会社定款に設定されていて、発行株式を譲渡・取得するにはその会社の承認が必要となります。

「非上場会社」とは

文字通り証券取引所に上場していない会社のことで、その会社が保有する株式を「非上場株」「未公開株」と呼びます。証券取引所で売買を行わないため、市場価格が存在しません。売り手と買い手が合意すれば取引は可能で、機関投資家や富裕層から集めた資金を投資するファンドもあります。

非公開会社は例外なく非上場会社です。非公開会社は会社の許可なく株式譲渡することを一切禁止しているため、市場で自由に売買できないからです。しかし、逆に非上場会社が必ずしも非公開会社とは限りません。サントリーホールディングス、JTB、竹中工務店、YKK、朝日新聞社、小学館……といった大手企業も非上場です。

さて、話をジャニーズ事務所に戻しましょう。ジャニーズ事務所の発行済株式の総数は登記簿上20万株となっています。令和3年分の類似業種比準価額を参考に計算すると、1株あたりの評価額は218万5,243円となります。

218万5,243円×20万株=4,370億4,860万円

ジャニーズ株の評価総額は4,370億円を超越することがわかります。では、メリー氏はこのうちの何パーセント株を保有していたのでしょう?

ジャニー氏はジュリー氏に株を生前贈与していた…?

少々古い資料ですが、平成18(2006)年6月時点での主要株主と株式保有率について以下の情報があります。

株主 株式保有率
ジャニー喜多川 (喜多川擴) 60%
メリー喜多川 (藤島メリー泰子) 10%
藤島ジュリー景子 10%
伊豆喜久江 10%

藤島ジュリー景子氏は、メリー氏の長女で、現・ジャニーズ事務所の代表取締役社長。伊豆喜久江氏は、元・取締役及び有限会社ジェイステーションの代表取締役社長で、平成28(2016)年2月に退社。

上記を参考にして、メリー氏が亡くなるまで10%のジャニーズ株を保有していたと考えると、株式評価額は約437億円となります。6億円超の相続財産には55%の相続税率を乗じるので、株式評価額に応じた相続税額は約240億円ということになります(ただし、法定相続分による按分等は考慮しておりません)。

メリー氏の末弟・ジャニー氏は故人で、もうひとりの弟・真一(元・エンジニアでNASAアポロ計画に従事)氏もすでに他界されており、いずれも子どもはありません。メリー氏の配偶者である藤島泰輔(小説家・評論家)氏も平成9(1997)年6月に亡くなっていますから、メリー氏のひとり娘であるジュリー氏は唯一の法定相続人となります。ジャニーズ株だけでも、ジュリー氏ひとりで莫大な相続税を支払わなければなりません。

しかし、どうでしょうか。恐らくジャニー氏は、メリー氏を飛び越してジュリー氏にジャニーズ株を生前贈与していたことが考えられます。なぜなら、年長者であるメリー氏がジャニー氏の財産を相続しても、いずれすぐ二次相続が発生する可能性があります。そうなると、立て続けに2回、相続税を支払わねばなりません。二次相続を見据えた生前贈与は相続税対策としては定石といえます。

ジュリー氏がジャニーズ事務所の代表取締役社長に就任したのは、ジャニー氏の逝去から約2ヵ月半後。ジャニー氏は遺書を残していたそうで、もちろん、その内容は公開されていませんが、事務所のトップを誰に引き継ぐか、準備はすでに整っていたのではないでしょうか。

トップに経営権を集中させるのも、同族経営の非公開会社においては、ある意味、王道です。メリー氏も娘・ジュリー氏に持ち株を生前贈与、あるいは代表権のない名誉会長に退いた際、他の取締役に贈与・譲渡していた可能性も高いと考えます。

情が厚く、感情が激しいと評判だったメリー氏。しかし、アメリカ育ちならではの合理性や長年の実業家としてのノウハウも身に着けているはずですから、ファミリービジネスにとって何が最良かを優先したのではないかと推察します。
「資産家の相続税額」とは!ジャニー喜多川氏の相続税額は100億円越え?も、併せてお読みいただければ幸いです。

この記事の監修者

税理士 岡野 雄志

相続税専門の岡野相続税理士法人代表として累計3,239件の相続税の契約実績。専門書の執筆や取材実績多数あり。
相続税専門の岡野雄志税理士

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