「熱海土石流」被災者の減免措置…相続した別荘はどうなる?

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相続した別荘はどうなる

今年も大雨や台風が日本各地に被害をもたらしています。令和3(2021)年7月3日、熱海市伊豆山で発生した土石流は記憶に新しいところです。災害で命を落とされた方とご遺族には心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された方が一日でも早く元の暮らしに戻られることを願わずにはいられません。
災害の危険が迫ってきたら、まずは身の安全を確保することです。現金や通帳、保険証などの持ち出しに気を取られず、とにかく命を守ることを最優先しましょう。なぜなら、被災者の財産については、後日手続きすれば取り戻し可能な救済措置があるからです。

所有不動産が被害を受けたらすぐに手続きすることは

自然災害により一定数以上の住家の倒壊・消失が生じると、その市区町村には「災害救助法」が適用され、速やかに様々な救助活動が行われます。さらに、この法が適用されると、財務局・財務事務所と日本銀行各支店が、金融機関に対して「金融上の措置」を要請します。

紙幣が破れたり、燃えたりしたら、原則として、紙幣面積の2/3以上が残っていれば全額分の紙幣、2/5以上2/3未満が残っていれば半額分の紙幣に引き換えられます。重さが減少した貨幣については、災害その他やむを得ない事由に限り、模様の認識ができれば額面価格の全額分を引き換えられます。

キャッシュカードや預貯金通帳などを失っても、本人確認さえできれば、預貯金の引き出し、一定期間の住宅ローン返済猶予や返済方法の変更に柔軟に応じてもらえるようになります。

保険会社に対しても、支払い中の保険料を一定期間猶予、契約者貸付の利息減免、また保険証券を損失していても、必要な手続きを取れば保険金が支払われるなど、柔軟な対応が求められます。

もちろん、これらの手続きには証明書が必要です。以下のような制度や措置を利用する際にも必要となります。それが、「罹災(りさい)証明書」や「被災証明書」です。

  • 公的年金等の受給
  • 生活再建支援制度・住宅応急修理制度の利用
  • 被災者生活再建支援金・義援金の支給
  • 災害援護資金・災害復興住宅融資の貸付
  • 仮設住宅・災害復興公営住宅への優先入居
  • 国民年金保険料・厚生年金保険料等の免除・猶予
  • 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料減免
  • 税金の免除・軽減
  • 公共料金の免除

身の安全が確保できて一息ついたら、まず「罹災証明書」や「被災証明書」を市区町村の役所・役場で発行してもらいましょう。

「罹災証明書」「被災証明書」の違いは?別荘の場合は?

「罹災証明書」

居住のために使用している家屋の被害状況を証明するものです。被害の程度は住家全体に占める損害割合によって6段階に区分されています。

被害の程度 全 壊 大規模半壊 中規模半壊 半 壊 準半壊 準半壊に至らない
(一部損壊)
損害割合 50%以上 40%以上
50%未満
30%以上
40%未満
20%以上
30%未満
10%以上
20%未満
10%未満

※内閣府『防災のページ~災害に係る住家の被害認定』の資料を参考に表作成

損害認定のための証拠として、被害状況の写真の提出も求められます。一時帰宅した際など、居住家屋の片づけや整理をする前に、スマホのカメラなどで家の全景を4方向から、被害部位は複数枚、浸水被害は浸水跡にメジャーを当てるなどして撮影しておきましょう。

「被災証明書」

被災した事実を証明するものです。いいかえれば、「罹災証明書」のように家屋の被害程度を判断するものではなく、住居家屋以外の所有物が被害を受けたかどうかを証明するものです。

したがって、社屋、店舗、工場、車やカーポート、家財、工作物、動産などの損害は、こちらが対象となります。こちらも証拠として被害状況の写真を撮っておきましょう。

別荘は市区町村によって申請書類が異なり、「被災証明書」の場合、「罹災届出証明書」の場合、「被災届出証明書」の場合があるようです。詳しくは、被災された市区町村の役所・役場にお問い合わせください。
なお、「罹災証明書」「被災証明書」いずれも、申請の後日、市区町村職員による現地調査を伴いますので、発行までに数日から数週間かかります。

また、申請には本人確認書類が必要となりますので、マイナンバーカードやパスポート、運転免許証をなくされた方は予めまたは同時申請を。住民票記載事項証明書(原本)も本人確認書類となりますので、同時発行してもらうのも良いでしょう。

相続税・贈与税に関する「災害減免法」をわかりやすく解説

災害被害者の租税減免を図るための法令として、昭和14(1939)年に制定されたのが「災害減免法(災害被害者に対する租税の減免徴収猶予等に関する法律)」です。昭和22(1947)年12月には、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」(略称・災害減免法〈新法〉)に全文改正されました。

「災害減免法」には、相続税と贈与税に関する第4条と第6条があります。相続税の申告期限は相続発生を知った日の翌日から10ヵ月以内、贈与税の申告期限は贈与された年の翌年の2月1日~3月15日ですが、受け取った財産の被災日が法定申告期限の前か、後かで適用が異なります。したがって、減免措置の取り扱い、計算方法や手続き内容も変わってきます。

法定申告期限の前

災害に遭った日が相続税等の法定申告期限前の場合は、災害減免法第6条が適用されます。「被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する」、つまり当該財産の価額が減免されます。

計算方法は以下となります。

相続財産等の価額※1-被害を受けた部分の価額※2=相続税等の課税価格に算入する価額

※1 小規模宅地等の特例などの課税価格の計算の特例の適用を受けている場合は、適用後の価額となります。
※2 被害を受けた相続財産等の価額×被害割合(保険金等による補填額を控除した被害金額÷被害を受ける直前の時価)

「災害減免法第6条の規定による相続税・贈与税の財産の価額の計算明細書」(国税庁『[手続名]災害減免法第4条または第6条の規定による相続税・贈与税の減免措置手続』よりダウンロードできます)に必要事項を記入し、申告期限までに税務署へ提出します。

法定申告期限の後

災害に遭った日が相続税等の法定申告期限後の場合は、災害減免法第4条が適用されます。「被害があった日以後において納付すべき相続税または贈与税(延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く)のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する」、つまり相続税等を納付後であれば、被害を受けた部分の税額が還付されます。

計算方法は以下となります。

被害のあった日以後に納付すべき相続税額または贈与税額※3×(被害を受けた部分の価額※4÷課税価格の計算の基礎となった財産の価額※5)=免除される相続税額または贈与税額

※3 延納中の税額や延納または物納の許可前の徴収猶予中の税額、農地等についての相続税等の納税猶予の特例の適用を受けている税額等のことで、延滞税、利子税及び加算税のほか、既に納付済の税額や滞納となっている税額は含まれません。

※4 被害を受けた相続財産等の価額×被害割合(保険金等による補填額を控除した被害金額÷被害を受ける直前の時価)

※5 相続税の場合は、債務控除後の価額(純資産価額から相続時精算課税適用財産の価額を差し引いた後の金額)。

「災害減免法第4条の規定による相続税・贈与税の免除承認申請書」(国税庁『[手続名]災害減免法第4条または第6条の規定による相続税・贈与税の減免措置手続』よりダウンロードできます)に必要事項を記入し、災害のやんだ日から2ヵ月以内に税務署へ提出します。

なお、災害により法定期限までに申告・納税等ができないときは、所轄税務署長に申請・承認を受けることで、その理由のやんだ日から2ヵ月以内の範囲で期限が延長されます。

◆「災害による申告、納付当の期限延長」については、『新型コロナの相続税申告期限延長の手続き方法【4/16以降】』のコラムもご参照ください。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • 相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。
    払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

    特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

    相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。
    そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

    当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。
    こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

    今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。
    初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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