「紀州のドン・ファン」元嫁に相続権はある?遺産の行方は?

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紀州のドンファン、元嫁に相続権はある?

一代で莫大な財産を築いた、「紀州のドン・ファン」。遺産を受け取るのは、一体、誰なのでしょう!?

「紀州のドン・ファン」とは?遺産は13億円超!

平成30(2018)年5月24日、資産家の「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏が急性覚醒剤中毒で急逝されました。裸一貫から億単位の財を成し、不羈奔放(ふきほんぽう)な生き方を貫いた故人のご冥福を、心よりお祈りいたします。

野崎幸助氏は、昭和16(1941)年、和歌山県田辺市生まれで、享年77歳。地元の中学を卒業後、鉄屑拾い、訪問販売員、金融業など、多種多様な商いを行ったのち、酒類販売業、不動産業などの経営で資産を築いた実業家です。

生前の平成28(2016)年、ワイドショーなどで50歳下の愛人に6,000万円を盗まれた逸話が話題に。同年刊行された『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』(講談社+α文庫)も注目を集め、亡くなる約1ヵ月前に続編『紀州のドン・ファン 野望篇 私が「生涯現役」でいられる理由』も出版されました。

報道によると、遺産は13億円超!しかし、預貯金、株式、美術品や貴金属、自宅豪邸のほかにも所有する不動産を合わせると、遺された資産はそれ以上の額に上るのではないかとも言われています。野崎氏の死が刑事事件に発展した今、その遺産の行方はどうなるのでしょう?

そこで、相続税を専門とする税理士の観点から、野崎幸助氏の相続について着目しました。

「死後離婚」した配偶者は法定相続人ではなくなる?

「紀州のドン・ファン」事件が注目されるのは、その展開がまるでサスペンスドラマのようだというのが理由の一つでしょう。

野崎氏の死亡から3年後の令和3(2021)年4月末、50歳以上年下の元妻・須藤早貴容疑者が殺人容疑などで逮捕され、事件は急展開を迎えます。

野崎氏と早貴容疑者は、平成30(2018)年2月8日に入籍しています。二人の結婚生活は、わずか3ヵ月でした。民法による相続権の定めでは、法律上婚姻関係にある配偶者は常に法定相続人となります。

しかし、離婚した配偶者には相続権はありません。早貴容疑者の動機は、野崎氏に離婚を迫られたからではないかと言われています。離婚すれば相続権を失ってしまうからです。

では、犯罪をおかした配偶者に相続権はあるのでしょうか?

民法第891条には、以下のような「相続人の欠格事由」が定められています。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

※出典:行政ポータルサイトe-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」

つまり、早貴容疑者が有罪であれば、たとえ配偶者であっても相続権はありません。

ところが、お気づきのように、早貴容疑者は元嫁、元妻と呼ばれています。名字も須藤という旧姓を名乗っています。野崎氏の死後、令和2(2020)年に旧姓に戻ることを申告したようです。一般的に「死後離婚」と呼ばれている手続きを行ったものとみられます。

「離婚」は配偶者同士の合意により、区市町村役場に「離婚届」を提出することで成立します。しかし、いわゆる「死後離婚」は一方が亡くなっているので、存命配偶者の意思により、単独で行うことができます。本籍地または居住地の区市町村役場に「姻族関係終了届」を提出することで、婚姻関係は終了します。

「姻族関係終了届」は、亡くなった配偶者の死亡届が提出された後であれば、いつでも提出できます。義父母(舅・姑)など、配偶者の血族からの許可は必要ありません。そして、「姻族関係終了届」が受理されれば、亡くなった配偶者の血族との姻族関係も終了します。ただし、一度手続きをしたら、姻族関係を復活することはできません。

また、「姻族関係終了届」を提出した配偶者が旧姓を使用したい場合は、「復氏届」を区市町村役場に提出します。

では、相続はどうなるでしょう?実は、「死後離婚」をしても、相続に影響はありません。相続発生時、被相続人の配偶者であれば、その後「死後離婚」しても、配偶者は法定相続人であり続けます。つまり、早貴容疑者が無罪なら、「紀州のドン・ファン」の遺産を相続できる可能性があるということです。

「紀州のドン・ファン」に子どもや兄弟は?遺言書は?

3回の結婚経験がある「紀州のドン・ファン」ですが、どうやらお子さんはいないようです。相続順位第1位の子がいない場合、第2順位の父母や祖父母といった直系尊属となりますが、いずれも他界されています。第3順位は兄弟姉妹となり、野崎幸助氏は7人兄弟の3男だったそうですから、この兄弟のうちご存命の方が相続人となります(亡くなった兄弟姉妹がいれば、その子どもが代襲相続人となります)。

※相続順位については、当サイトのコラム「法定相続人と法定相続分」とは?相続人の範囲と遺産の割合自分で相続税申告「相続人関係図で法定相続人を特定しよう」もご参照ください。

ところが、野崎氏の死後、「全財産を田辺市にキフする」と手書きされた野崎氏の遺言書を預かっているという知人が現れます。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、手書きということは「自筆証書遺言」にあたります。

故人の遺言書が見つかったら、発見者、保管者もしくは相続人は、速やかに家庭裁判所へ検認の申し立てをしなければいけないと民法で定められています。家裁による遺言書の検認は、主に遺言書の偽造・変造を防止するのが目的です。遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などが法定通りであれば、要件を満たしていると認められます。

知人が保管していたという野崎氏の遺言書は検認を通り、田辺市も遺産を受け取る準備を始めました。しかし、これに対して、野崎氏の兄ら親族4人が「待った」をかけます。

親族は手書きの遺言書がコピー用紙に赤ペンで走り書きされていて、本人の意思で書かれたものかどうか定かでないこと、市に寄付するという野崎氏自身の合理的動機が見当たらないことなどを主張し、和歌山地裁に遺言書の無効を提訴しました。

さらに、遺族側は遺言書の「筆跡鑑定書」を提出。筆跡鑑定の結果は、「別人による筆跡である」という結果でした。遺贈を受ける予定だった田辺市と野崎氏遺族側の法廷での係争は、令和3(2021)年6月現在、いまだ継続中です。

「自筆証書遺言」に関して、令和2(2020)年7月から法務局による保管サービスが始まりました。野崎氏が作成した「自筆証書遺言」を法務局に預けていたなら、こんな揉め事は生じなかったかもしれません。

※遺言書について詳しくは、遺産を誰がどれだけ相続するか「遺産分割に関する書類」を詳しく説明「自筆証書遺言の保管制度」を創設。相続をめぐる紛争を防止もご参照ください。

この世でも、あの世へ旅立ってからも注目される、「紀州のドン・ファン」。事件の行方からも、遺贈と相続の行方からも、当分、目が離せそうにありません。

押さえておきたい相続税の知識

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  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
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    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

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    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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