相続税は「配偶者の税額軽減」で大きく減らせる!?仕組みや注意点について

2018年09月10日 [ ]

配偶者は社会保障など色々な面で優遇されますが、相続税においても同様です。
相続税には「配偶者の税額軽減」というルールがあり、相続税の負担を大きく減らすことができるようになっています。

この章では配偶者の税額軽減について、仕組みや注意事項などを確認していきます。

「配偶者の税額軽減」の仕組み

「配偶者の税額軽減」は計算の結果算出された配偶者の相続税額から直接税額の控除ができるもので、「1億6000万円」または「法定相続分」のどちらか大きい方の額を税額から控除することができます。
つまり相続税額が上記以下であれば相続税がかからないということです。
これほど大きな減税が認められるのは、配偶者が被相続人の財産形成に大きく貢献していると考えられるので、その分税負担を下げてあげようという趣旨からです。
ただし、いわゆる内縁の妻など事実婚の相手方は適用とならず、あくまで法律上の婚姻をしている配偶者しか利用できません。
配偶者であれば、相続放棄をした場合でも利用できます。
例えば生命保険金は相続放棄をしても受け取れますが、相続税の課税対象になります。
その際に配偶者の税額軽減を適用できることになります。

配偶者の税額軽減を使う際の注意事項①

配偶者の税額軽減を利用する場合は必ず確定申告が必要になります。
この制度を利用して計算した結果税額が0以下になる場合、税負担は生じないことになりますが、税務署に対する申告自体は必要になる点に注意してください。

また、この制度が利用できるのは原則として分割財産が対象です。
分割財産とは相続税の申告期限までに分割が確定した財産のことです。
遺産分割協議などに時間がかかり相続税の申告期限までに分割が間に合わなかった場合は、一旦法定相続分で分割したと仮定して相続税を計算し申告・納税をしなければなりません。
そしてその際、未分割の財産については配偶者の税額軽減を適用することはできません。

ただし、当初の申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておき、実際に申告期限後3年以内に分割が終了した場合は、事後的に適用が可能になります。

配偶者の税額軽減を使う際の注意事項②

配偶者の税額軽減措置を利用すれば、最低でも1億6000万円という大きな相続財産について無税にすることが可能になります。
遺産が多額にある場合でも、できるだけ配偶者に遺産の承継を集中させれば、非課税枠を最大限に利用することで税負担を軽減させることができることになります。

例えば父が被相続人となり、その妻と二人の子が相続人になる場合でも、遺産をできるだけ妻に集中させれば相続全体としての税負担を下げることができます。

ただし、それはあくまで父の相続(一次相続)に限っての話です。
父の次には年齢的に妻が被相続人となり相続が発生(二次相続)することになるでしょう。
一次相続で配偶者の税額軽減を最大限に活用すると、二次相続で損をしてしまうこともあるので要注意なのです。

上の例で、父の多額の遺産を妻に集中させ、一相続では相続税の負担を大きく減らせたとします。
その場合、妻は父(夫)の遺産を承継しているので、次にその妻に相続が起きると父親から受け継いだ多額の遺産と妻自身の遺産を合わせた大きな相続財産が子ども達の相続税の課税対象になります。
そしてその時、「配偶者」はいないので、残された相続人である子は当然配偶者の税額軽減は利用できません。

また相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」ですから法定相続人が多いほど有利です。
一次相続では妻と二人の子合わせて3人いるので4800万円ですが、妻の二次相続では相続人が子ども二人ですから4200万円に減ってしまいます。

相続税は相続財産の額が大きくなるほどに税率も大きくなり、税負担が増えていく仕組みになっていますから、基礎控除が減ればそれだけ税額が大きくなるということです。

また結婚等で子どもが実家を出ていた場合、自宅用家屋の相続税評価額を大きく減らすことができる「小規模宅地の特例」を利用できなくなる可能性もあります。

このように、一次相続では受けられた恩恵が二次相続では受けられず相続税の負担が大きくなることがあるので、一次相続と二次相続をトータルで考える必要があるのです。

まとめ

今回は「配偶者の税額軽減」に焦点をあてて仕組みや注意事項を見てきました。

配偶者の税負担を大きく減らせる点で大変有利ですが、こればかりに目がいってしまうと二次相続の際に相続人の負担が大きくなることが懸念されます。
現在ご自身の一次相続では配偶者に遺産を集中させようと考えている人は、この機会に二次相続のこともシミュレーションしてみましょう。

ただ二次相続は将来のことでもあり、その際の相続財産の予測や特例等の適用の可否については予想が難しいのが難点です。

相続税に詳しい税理士であればこうした問題にも対応していますで、是非一度相談してみることをお薦めします。

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