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遺産相続争いの原因の遺言書。トラブルを防ぐための遺言書の書き方とは?

2018年05月01日

遺言の種類

遺言には、大きく分けて二方式存在します。「普通方式遺言」と「特別方式遺言」です。

さらに、普通方式遺言には、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。一方特別方式遺言には、「危急時遺言(一般危急時遺言・難船危急時遺言)」と「隔絶地遺言(一般隔絶地遺言・船舶隔絶地遺言)」があります。いずれも、普通方式遺言ができない特殊な状況下においてのみ認められる略式方式ですので、一般的には普通方式遺言で作成することがほとんどです。

これらの遺言は、法律の定めに従った方式(普通方式3種類+特別方式2種類)で作成される必要があり、方式に反していると正式な遺言として認めてもらえないというリスクがあります。

各種遺言の特徴

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、三種類の中で最もシンプルかつ簡単な遺言書です。必要なものは、紙とペン、そして印鑑だけです。費用もかかりません。
また、自分1人で作成できますので、遺言内容を他人に秘密にしておけるというメリットもあります。しかし、その反面で、専門家のチェックがないために遺言自体が無効になるリスクがあります。また、管理面でも紛失・偽造・隠匿の可能性があります。実際に相続が発生した際にも、執行面で不安が残ります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言

公正証書遺言【おすすめ】

公正証書遺言とは、遺言者が口頭で伝えた遺言をもとに、公証人が作成する遺言です。専門家である公証人が不備をチェックしてくれるので、法的解釈に争いが生じるような遺言書ができあがることはほとんどありません。また、作成だけでなく管理(保管)も公証人が行うため、法的に最も安全・確実であると言えます。
デメリットとしては、費用がかかること、証人の立会いが必要なことから遺言内容を自分だけの秘密にすることができないことなどが挙げられます。

公正証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

遺言者自身が遺言内容を用紙に記載し(ワープロ・代筆も可)、自署・押印した上で封印して、公証人役場に持ち込み、公証人および証人立会いの下で保管を依頼します。
遺言内容を誰にも知られずに済む等のメリットがありますが、他の方法に比べて手間がかかりますし、記載に不備があると無効になるなど確実性に欠けるため、利用は年間で100件程度と非常に少なくなっています。また、費用もかかります。

それぞれの方式にはメリット・デメリットがありますので、自分に合った方式を選択することが重要です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言

遺留分とは?遺言を書くときの注意点

争続防止にもなる遺言ですが、遺言内容は100%実現するわけではありません。遺留分という制度があるためです。
相続税関連のサイトや本でも、「遺言書を書く際には遺留分に気を付けよう」とうたう記事をよく見かけますが、何に気を付けるべきなのかを言及しているものはあまりありません。

遺留分は、相続税にとって無視できない要素ですので、ここでは「どうして遺留分に気を付けるべきなのか」「何に気を付ければいいのか」について説明します。

まず、前提として被相続人は、遺言を書くことによって、自分の財産をどう処分させるかを自由に決めることができます。
ただし、完全な自由を認めてしまえば、遺言の内容次第で、遺族の生活の安定が脅かされてしまいます。それを避けるため、法定相続人には、法律上、最低限相続できる割合として「遺留分」が保障されています。

遺留分を侵害する遺言は、法律上無効ではありませんが、遺留分を侵害された相続人から、遺留分相当分の返還を求められた場合(これを「遺留分減殺請求」と呼びます)、応じなければなりません。
つまり、すべて遺言通りに相続させることができない場合もあるということなのです。できるだけ希望通りに財産を相続させようと思うなら、そのための対策を講じる必要が出てきます。

遺留分減殺請求への対策

遺留分減殺請求への対策はいくつかあります。例えばですが、相続人に理解があれば、家庭裁判所で遺留分の事前放棄を行うことができます。事前放棄を相続人に拒否された場合は、養子をとって相続人の遺留分を減らしたり、生命保険を利用する(生命保険金は原則として遺留分減殺請求の対象になりません)等の対策も考えられます。

他の対策としては、どのような順序でどの財産を渡すか指定しておく、という方法があります。収益性の低い不動産など、重要度の低い財産から渡すように指定することで、自宅や預金など本当に残したい財産を守ることができます。

また、「相続人に遺留分に相当する財産を渡す」という内容の文言を、あらかじめ遺言内に書いておくことも、一つの方法です。相続人の遺留分を侵害しなければ、遺留分減殺請求の心配はありません。その際に問題となるのが、遺留分に相当する財産額をどうやって算出するかです。

一般的に遺留分を算定する際の遺産の評価は「相続開始時の時価」と考えるのが裁判所の見解です(一定期間内等の生前贈与や負債がある場合、遺産の評価に加味されます)。
現金や預貯金であれば額面は明らかですが、遺産に不動産や非上場株式(一般に流通していない同族会社の株式)等が含まれていた場合、時価の算出は困難になります。
不動産であれば、査定や鑑定等を利用して概算時価を把握する方法が考えられます。非上場株式は証券取引所での売買ができないため、株式の発行会社に買取り価格を尋ねるなどの手段で概算時価を把握するといいでしょう。

その他の注意事項

なお、遺言に「全財産を一人の相続人に相続させる」という内容を書いた場合、その相続人が被相続人より先に亡くなったときは、遺言そのものが無効になってしまいますので注意してください。そういった不測の事態を防ぐために、その相続人が遺言者より先に亡くなった場合についても、財産をどう処分させるか、あらかじめ遺言に書いておくとよいでしょう。

相続は予想外のことが起きやすいものですが、争いを未然に防ぐためにも、さまざまな状況を想定して対策を講じることが重要です。

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