「失敗しない相続手続き」チャートでわかる期限と相談士業

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「失敗しない相続手続き」チャートでわかる期限と相談士業

覚悟はしていても、いざ相続が発生すると何から手を付けていいか、誰しも戸惑うものです。そこで、相続発生からの手順を期限順にチャート化しました。また、誰に相談や手続きの代行を依頼したらいいかわからないという時のために、関わる専門の士業も一覧表にして添えました。

目次ごとに解説も付けましたので、ご参照いただければ幸いです。

相続流れのチャート。相続発生から7日以内に死亡届。相続発生の翌日から14日以内なら、年金保険等の届け出。相続流れのチャート相続流れのチャート

相続発生の翌日から7日以内にする手続き

死亡届と口座凍結について

被相続人(財産を遺して亡くなった方)の死亡直後は、家族や同居人が区市町村役場に死亡届を提出したり、火葬・埋葬許可証を受け取ったりしなければなりません。

気になる「口座凍結」ですが、家族や親族が金融機関へ口座名義人の死亡を報告しなければ行われません。また、平成 30 (2018)年、「預貯金の払い戻し制度(仮払い制度)」が創設され、法定相続人は相続開始時の預貯金債権額×1/3×法定相続分の金額の範囲で(1金融機関につき上限額は150万円)預貯金の払い戻しができるようになりました。

※口座凍結について詳しくは、こちらのコラムもご一読ください。

会社員の健康保険・年金等について

被相続人が会社員の場合、勤めていた会社の事業主は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を、死亡後5日以内に年金事務所に提出することになっています。健康保険証の返却は家族や同居人から行います。

相続発生の翌日から14日以内にする手続き

個人事業主等の健康保険・年金等について

国民健康保険、後期高齢者医療保険、国民年金の資格喪失届は14日以内です。被相続人が世帯主の場合は、世帯主変更届も14日以内に行います。

相続財産の調査について

健康保険や年金の届出などが一通り済んだ後、相続の手続きとなります。まずは、相続財産すべてを洗い出し、法定相続人全員と連絡を取り合って遺産配分を決めることとなります。

国税庁のホームページ『No.4105 相続税がかかる財産』によると、「本来の相続財産」は「現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのもの」とされています。死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金なども、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。

※国税庁『No.4108 相続税がかからない財産』も併せてご確認ください。

相続税が課税される遺産総額の計算式は以下となります。基礎控除額より相続財産の合計額が少なければ、相続税納税は必要ありません。

相続財産の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)= 課税遺産総額

※詳しくは、国税庁『No.4152 相続税の計算』をご参照ください。

相続人の調査について

「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことです。相続順位は以下のようになっています。配偶者は常に法定相続人となります。

第一順位 子(実子・養子の区別なし)
※子が亡くなっている場合等は、直系卑属(孫・ひ孫等)が代襲相続。
第二順位 直系尊属(父母)

※父母が亡くなっている場合は、祖父母等。

第三順位 兄弟姉妹

※兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪。

※法定相続人と法定相続分について詳しくは、こちらのコラムもご覧ください。

なお、国税庁の『相続税の申告のためのチェックシート』(PDF)には、以下のような相続関係図を書き込めるページもありますので、活用してみるのもいいでしょう。

相続関係図※出典:国税庁『相続税の申告のためのチェックシート』(令和2年4月以降相続開始用)より抜粋

遺言書について

次に、遺言書があるかどうかです。遺言書には大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」の2種類があります。「特別方式遺言」とは危急時や遭難時などの特殊な状況における遺言で、通常の日常生活の中での遺言なら「普通方式遺言」が一般的でしょう。「普通方式遺言」には、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります。

※遺言書について詳しくはこちらのコラム、遺言信託と遺言執行についてはこちらのコラムもご一読ください。

遺産分割協議について

遺言書がない場合、遺言書が無効な場合、遺言書が有効でも相続人全員が無効とする合意があった場合は、遺産分割協議を行います。遺産分割協議で揉めた場合に相談するのは弁護士、今後の相続税申告を踏まえて財産評価を依頼するなら税理士…という具合に、ケースバイケースで相談する士業の専門家も異なってきます。

相続には民法や税法といった法律が関わってきます。相続に関わる国家資格を持つ専門家も、業務独占資格といって、手続きによって関われる士業・関われない士業も法律で定められています。

また、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係、相続人同士の関係、相続財産の種類によっても取らねばならない手続きや用意しなければいけない書類も異なります。そこが相続を難しくしている点かもしれません。

しかし、税理士や弁護士といった士業も、連携して相続業務に当たることがあり、士業から別の士業への紹介も可能ですから、ご自分が相続人となった場合、どこを窓口にすれば良いかわかれば後はスムーズです。

相続発生の翌日から3ヵ月以内にする手続き

相続放棄と限定承認について

被相続人が借金などを遺して亡くなられた場合、相続人はマイナスの遺産を背負うことになります。相続人がこういった負の遺産を相続しないで拒否するには、「相続放棄」「限定承認」という方法があります。

相続放棄:相続する権利そのものがなかったとすることで、プラスの財産もマイナスの財産も放棄することになります。3ヵ月以内に家庭裁判所へ「相続の放棄の申述書」等の提出が必要。

限定承認:プラスの相続財産の範囲内でマイナスの財産も相続すること。3ヵ月以内に家庭裁判所へ「相続の限定承認の申述書」等の提出が必要(合意があれば不要)。

※相続放棄と限定承認については、こちらのコラムもご一読ください。

なお、「相続放棄」と似た言葉で、「財産放棄」「遺産放棄」といった言葉がありますが、実は一般用語であって法律用語ではありません。プラスの遺産を放棄するという意味では、手続き上は「相続分放棄」と呼ばれ、3ヵ月以内に家庭裁判所へ「相続分放棄届出書兼相続分放棄書」等の提出が必要です。

相続発生の翌日から4ヵ月以内にする手続き

準確定申告について

「準確定申告」とは、確定申告が必要な被相続人が確定申告をしないまま年の途中で亡くなった場合、相続人が代わってその年の所得税や消費税等の申告を行うことです。

※確定申告が必要な人については、国税庁『確定申告が必要な方』をご参照ください。

「準確定申告」は税務署に赴かなくても、自宅のパソコンやスマホから手続きすることもできます。

※準確定申告のe-Tax手続きについては、こちらのコラムもご一読ください。

相続発生の翌日から10ヵ月以内にする手続き

相続税申告・納税について

たとえ遺産分割協議がまだ決着していなくても、相続税申告は10ヵ月以内にしなければいけません。相続税の納税も10ヵ月以内です。遺産分割協議がまとまらない場合でも、一旦、法定相続分で申告書を作成し、相続人それぞれが申告・納税します。

相続財産が未分割だと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減などの特例が受けられないので、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて提出します。この見込書を提出することで、3年以内に遺産分割協議がまとまれば特例を受けることができます。

※相続税の申告等に必要な書類は、国税庁の『[手続名]相続税の申告手続』からダウンロードできます。

また、課税遺産総額が基礎控除額以下だった場合、相続税の納税は必要ありませんが、相続税申告をしておいたほうが良いケースもあります。特に被相続人が生前贈与を行っていた場合には、申告漏れや無申告を税務署に疑われ、税務調査の対象となりかねないこともありますので、注意が必要です。

※相続税申告については、こちらのコラムこちらのコラムもご一読ください。

※信頼できる相続税専門の税理士の選び方については、こちらのコラムをご参照ください。なお、当税理士法人の取扱い業務はこちら、税理士費用/料金のご案内はこちらに掲載しております。

相続発生の翌日から1年以内にする手続き

遺留分侵害額請求について

「遺留分」とは、民法で保障されている法定相続人が最低限受け取る権利のある相続分のことです。遺産相続では、故人の遺志である遺言証書が優先されますが、例えば、誰か一人の相続人に全財産を与えるといった極端な遺言内容だったらどうでしょう。ほかの法定相続人は相続権があるにも関わらず、遺産を受け取ることができなくなってしまいます。

そこで、公平な遺産分配が行われるよう、遺留分を侵害された人が最低限保障されている遺産を取り戻すための制度が定められています。旧法では「遺留分減殺請求権」でしたが、令和元(2019)年の法改正によって「遺留分侵害額請求権」に改められました。

改正前の「遺留分減殺請求権」はいわば物的請求権で、遺留分相当額の相続財産そのものの返還を求めるものでした。これに対して、改正後の「遺留分侵害額請求権」は遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる、債権的請求権です。

遺留分侵害額の請求について、相続人同士で話し合いがつかない場合や協議できない場合は、家庭裁判所の調停手続きとなります。

※詳しくは、最高裁判所ホームページ『遺留分侵害額の請求調停』をご参照ください。

※「遺留分制度」の見直しについては、こちらのコラムもご一読ください。

相続発生の翌日から3年10ヵ月以内にする手続き

取得費加算の特例の適用について

「取得費加算の特例」とは、相続した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に売却した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度です。一定期間とは、相続発生の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までを指します。

取得費とは、土地、建物、株式などの財産を取得するのに要した費用のことです。具体的には、「測量費」「整地費」「登録免許税・不動産取得税などの税金」「建築代金」「不動産購入費」「取壊し費用」「借入利息」「改良費」「設備費」などがこれに当たります。

※詳しくは、国税庁の『No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例』をご参照ください。

※相続した土地を売る手続きについては、こちらのコラムもご一読ください。

相続登記について

「相続登記」とは、相続した土地や建物等の名義変更を行う手続きをいいます。実は、現状、相続に伴う不動産登記には期限がありません。しかし、登記を放置していると、不動産を売却したり、担保として提供したりはできません。

また、法改正に伴い、令和3(2021)年2月現在、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案が決定され、相続や住所・氏名変更による土地の登記が義務付けられることになりました。相続から3年以内に申請しなければ10万円以下のペナルティが課されることになります。

政府は3月に改正案を閣議決定し、今国会で成立させた後、2023年度にも施行の予定ですので、今後の動向から目が離せません。

※相続登記を速やかにすべき事例についてはこちらのコラム、相続した家に住む手続きについてはこちらのコラムもご一読ください。

相続発生の翌日から5年10ヵ月以内にする手続き

修正申告・更正の請求について

「修正申告」は、初めに申告した税額が過少である場合に、正しい税額に修正して申告する手続きです。「更正の請求」は、逆に当初申告した税額が過大である場合に、納めすぎた部分の税額を還付請求する手続きです。

ちなみに、相続税申告の期限内に間違いに気づいた場合は、「訂正申告」ができます。

例えば、遺産分割協議が相続税の申告期限内にまとまらず、いったん法定相続分で申告した後、遺産分割協議が整って遺産配分に変更があった場合も「修正申告」または「更正の請求」を各相続人が行います。

※相続税還付については、こちらのコラムこちらのコラムもご一読ください。

ただし、「修正申告」の場合は、ペナルティが課せられることがあります。期限内に相続税が完納できていないと、期限の翌日から納付する日までの日数分、利息に相当する「延滞税」が課されます。

また、「過少申告加算税」は自主的な「修正申告」なら課されませんが、税務調査後の「修正申告」には課せられます。調査の事前通知後の場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税が課税されます。

「重加算税」は仮装・隠ぺいなど、さらに悪質な場合に課せられる附帯税です。相続税申告書を提出済の場合は35%、提出しておらず無申告の場合は40%と、税率もかなり高くなっています。

※税務調査のペナルティについては、こちらのコラムもご一読ください。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • 相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。
    払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

    特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

    相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。
    そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

    当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。
    こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

    今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。
    初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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