内縁の妻や夫に遺産を渡すには|知っておきたい生前からの対策とは

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疑問質問

「内縁の妻と長年暮らしていた。自分の死後に財産を渡すにはどうすれば良い?」

「内縁関係にあると相続ができないと聞いたけど、対策はないのか。」

「大切な内縁の夫に、自分の財産を遺すための知識が欲しい。」

事実婚は夫婦のあり方の1つであり、選択している方も多いでしょう。いわゆる内縁関係にある夫婦は、相続時にどのような扱いになるのかご存じでしょうか。

この記事では、いざという時のために、内縁関係にある方の財産の渡し方について、生前からできる対策方法を中心に詳しく解説します。ぜひご一読ください。

この記事でわかること

・内縁関係とはどのようなものか・内縁関係の証明方法

・内縁関係の方に財産を渡す方法

・相続財産を受領する際の注意点

内縁関係にある夫婦とは?相続人にはなれる?

事実婚、内縁関係など、夫婦のあり方にはいろんな名称がありますが、いずれも「婚姻届を出していない方」を意味するものです。この章では内縁関係の夫婦や、法定相続人になれるか否かについて、詳細を解説します。

内縁関係とはどういった関係を意味する?

内縁関係にある夫婦とは、法的な定義があるものではありません。事実婚、内縁などいろんな呼び方がありますが、「婚姻届を提出していないパートナー同士」を意味します。男女で夫婦同然に生活している方もいれば、同性同士のカップルもいます。近年さまざまな自治体が性的少数者などを対象に事実婚にある方をパートナーシップとして認める動きも多くなっています。

横浜市でも、「性的少数者や事実婚の方を対象に、令和元年12月2日から「横浜市パートナーシップ宣誓制度」を実施しています。

参考URL  横浜市 横浜市パートナーシップ宣誓制度

内縁関係は証明できる?

内縁関係は婚姻届を提出していない関係のため、戸籍謄本で夫婦・パートナー関係を証明できません。しかし、勤務先の配偶者手当や遺族年金の受け取りなどの機会によっては、内縁関係を証明する必要があります。この場合、以下に挙げる書類が役立つでしょう。

書類名 内縁関係が証明できる理由
住民票 「妻(未届)」、「夫(未届)」として届け出ることができるため内縁関係の証拠となる
賃貸契約書や、不動産の売買契約書 契約書の同居人欄に内縁と示すことが可能のため、証明に使える
事実婚の公正証書 公証役場で作成されたものは法的な効力があるため
自治体によるパートナーシップ証明書 自治体がパートナーシップを証明している書類のため
健康保険の扶養届 内縁であっても被扶養者になれるため、証明に役立つ

相続時には法定相続人になれる?

民法では法定相続人や相続人の範囲が定められていますが、内縁の妻や夫は法定相続人には認められていません。事実婚として長く暮らしていても、婚姻届が出ていない場合は相続人にはなれないのです。では、内縁関係のご夫婦の間に子がいる場合、子は相続人になれるのでしょうか。

  認知によって相続人になれる

内縁関係のご夫婦の間に生まれた子がいる場合、父親である被相続人が自分の子ども(非嫡出子)だと認知していた場合には、法定相続人になれます。

・婚姻関係にある夫婦の間の子…嫡出子
・婚姻関係以外の男女の間の子…非嫡出子

以前は異なっていましたが、現在は嫡出子と非嫡出子の相続分は同じです。

内縁の方へ遺産を確実に渡すために必要な手続きとは?

法定相続人には慣れない内縁の妻・夫に対して、確実に遺産を遺すためには、一体どのような手続きが必要でしょうか。この章で詳しく解説します。

1.生前贈与

生前に内縁の方に「生前贈与」を行えば、財産を承継させることができます。相続とは関係なく、基礎控除内で少しずつ贈与していけば、安全に財産を渡すことが可能です。

詳しくはこちらもご一読ください

2.遺言

遺言も有効な手続き方法の1つです。遺言書の中では法定相続人以外の方も、財産の承継先に指名することができます。

ただし、法定相続人がいる場合には、遺言の内容によっては「遺留分」を侵害してしまい、相続トラブルに発展するおそれがあります。遺留分を侵害する内容の遺言書を作ること自体は問題がありませんが、相続トラブルを見据えた内容にしておくことがおすすめです。

遺留分については、こちらもご一読ください

3.死亡保険金の受取人に指定

相続対策に活用される機会が多い生命保険金は、内縁の方に財産を渡す方法としても有効です。死亡保険金の受取人に内縁の方を指定しましょう。なお、生命保険会社によって死亡保険金の指定については規定が異なっているため、事前に確認されることがおすすめです。

4.特別縁故者になる

あまり積極的に利用されていませんが、被相続人に相続人がいない場合、内縁の方が「特別縁故者の申立て」をし、家庭裁判所が特別縁故者であると認めた場合には、内縁の方が遺した財産を受け取ることが可能です。主に以下の要件をクリアしている方が、認められる場合があります。

被相続人と生計を共にしている人

被相続人と生計を同じくしていた人は特別縁故者に認められる可能性が高いでしょう。一緒に長きにわたって生活していた内縁の方は、この要件に該当します。

 

■被相続人の療養看護に務めた人物

業務として報酬を得ていた看護士などは除いて、被相続人の介護を長く行っていた方も、認められる可能性があります。内縁の方の介護に従事していた場合、こちらの要件もクリアしていると考えられます。

 

ただし、特別縁故者はあくまでも家庭裁判所が判断するため、すべての申立てが認められるわけではありません。また特別縁故者の申立ては「相続人の不在が確定してから3か月以内」に行う必要があります。もしも相続人の特定が難しい場合には、事前に相続財産管理人の選任申立てを行う必要があるなど、複雑な手続きを要するため、弁護士などの専門家に相談することがおすすめです。

参考URL  裁判所 特別縁故者に対する相続財産分与

内縁関係にある場合、相続税はどうなる?

内縁関係にある方は、相続の際には法定相続人になれません。では、相続税は一体どのように扱うのでしょうか。実は、内縁の方が財産を継承する際には、知っておきたい注意点があります。詳しくは以下です。

内縁の方は相続税面でデメリットが多い

内縁の方は法定相続人にはなれないため、相続税の基礎控除面でデメリットがあります。

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人数」ですが、法定相続人に該当しないため、もしも内縁の方以外に法定相続人がいない場合は、基礎控除が3,000万円に留まってしまいます。また以下に挙げるとおり、控除などの面でも注意点があります。

控除・特例名 内縁の方
       2割加算 〇 内縁の方が相続財産を受領する  と、相続税が2割加算されてしまう
       配偶者控除 × 法定相続人に限る
       小規模宅地の特例 × 法定相続人に限る
       障害者控除 × 法定相続人に限る

このように、内縁の方が相続財産を取得する場合、相続税が2割加算されてしまうだけではなく、法定相続人であれば適用となる控除や特例が使えないというデメリットがあります。

死亡保険金の受領にも注意が必要

 生命保険の死亡保険金は内縁の方が財産を受け取る際に活用できる有効な方法です。しかし、死亡保険金の受領にも注意が必要です。本来、生命保険金には非課税枠が用意されています。

■生命保険金の非課税枠 500万円×法定相続人の数

ただし内縁の方は法定相続人ではないため、そもそも非課税枠の適用がないためご注意ください。

まとめ

この記事では、内縁関係にある方の財産の渡し方について、生前からできる対策方法や注意点を中心に詳しく解説しました。パートナーシップ制度の拡大などから、事実婚に関する理解は広まっており、同棲婚としても内縁関係を選ぶ方もいます。法定相続人にはなれなくても、現段階では生前贈与や遺言などによって財産を継承する方法がありますので、ぜひご検討ください。

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • 相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。
    払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

    特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

    相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。
    そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

    当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。
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    初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,904件(2026年3月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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