【埋蔵文化財包蔵地を相続】相続税評価や控除の要件などを解説

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埋蔵文化財の土地イメージ

相続財産として土地を相続する場合、相続税申告のためにまずは土地の評価額を計算しますが、土地の広さや形状、所在地や周囲の環境などによって求め方もさまざまです。
なかでも、その土地が「埋蔵文化財包蔵地(まいぞうぶんかざいほうぞうち)」だった場合、土地開発を行う際には、地中の調査をしなければならず、かなりの費用が発生します。

そこで今回は、埋蔵文化財包蔵地かどうかの確認方法や評価額の計算方法(および費用控除)、還付事例などについて解説していきます。

埋蔵文化財包蔵地とは?

埋蔵文化財のイメージ
埋蔵文化財包蔵地は、正確には「周知の埋蔵文化財包蔵地」といい、石器や土器、埴輪(はにわ)などの文化財が地中に埋もれている土地のこと。埋蔵文化財は他にも、貝塚、古墳、城跡、住居跡などがあります。
こうした埋蔵文化財を守るために、このような土地については、文化財保護法(第95条)において「国及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備その他その周知の徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない」などと定めています。

京都や奈良などのように歴史的な背景があり、出土品が多いと予想される地域以外にも、この指定を受けている土地は意外にも多く、初めての申告では「畑」として評価されていた土地が、調べてみると埋蔵文化財包蔵地だったというケースもあります。

埋蔵文化財包蔵地内にある土地の相続税評価

相続した土地が埋蔵文化財包蔵地の指定区域内にある場合、土地の評価が下がることがあります。

埋蔵文化財包蔵地内にある土地に新たに建物を建てる場合など、「文化財保護法」に基づき発掘調査を行わなければならず、土地の所有者がその費用を負担しなければなりません(市区町村によって公費の負担があります)。そのため、土地の評価額は発掘調査費用の分だけ下がることになります。
「近所で土器や石器が出土したことがある」など、気になる土地を所有されている方は、その土地が埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうか確認してみましょう。

埋蔵文化財包蔵地かどうか確認する方法

相続した土地が埋蔵文化財包蔵地かどうか確認するには、市区町村におかれている教育委員会にて「遺跡地図」や「埋蔵文化財包蔵地図」などで確認できます(市区町村のホームページで確認できるところもあります)。
例えば、「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」では、住所から埋蔵文化財包蔵地(遺跡の有無)を閲覧できます。

東京都遺跡地図引用:東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス 東京都文京区で検索

東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス 東京都文京区で検索

埋蔵文化財包蔵地に該当したら

上記の方法で確認し、その土地が埋蔵文化財包蔵地内に該当した場合、まずは本格的に発掘する必要があるかどうか専門業者に「試掘」をしてもらい判断を仰ぎます。この試掘調査にかかる費用は行政の負担となります(※)。
試掘調査で「本調査」の必要があると判断された場合には、発掘調査にかかる費用の「見積り」を依頼します。
※発掘調査費用の負担は市区町村によって取り扱いが異なります。

建物を建てる計画はないけれど、発掘調査費用を知りたい

相続した土地に新たに建物を建てる計画はないけれど、発掘調査にかかる費用だけ知りたいという方もいます。実際のところ、新建築の計画がないのに試掘調査を依頼することはできないため、その場合は専門業者に近くの発掘調査費用に基づいて見積書を作成してもらいます。

発掘調査費用の内訳は?

発掘調査費用には次のような項目が含まれます。

  • 作業員の人件費
  • 重機のレンタル料金
  • 測量費用
  • 発掘調査を運営するプレハブなど施設費・撤去費用
  • 工事現場の警備費用

埋蔵文化財包蔵地の相続税評価額の求め方

埋蔵文化財包蔵地の評価方法は「財産基本通達」に記載がなく、特に法律で決められてはいません。ただし、発掘調査の費用は所有者が負担しなくてはならないことから、発掘調査費用を8割減額できる控除を受けることができます(税務署によっては認められないこともあります)。

埋蔵文化財包蔵地の評価額の求め方は次のようになります。
[埋蔵文化財包蔵地でないとした場合の相続税評価額] – [発掘調査費用相当額(見積額の80%)] = 埋蔵文化財包蔵地の相続税評価額

続いて、実際にあった還付事例をもとに、土地の評価額の計算を紹介します。

埋蔵文化財包蔵地の相続税還付事例

ここでは、相続税申告後に、実際に還付されたケースをご紹介します。

Aさんは、当初200㎡の土地を一般的な「畑」として評価し評価額7,900万円で申告しました。ところが、隣の土地から文化財が出土したので、調べてみると埋蔵文化財包蔵地であることがわかり、必要な発掘費用を見積もると約2,125万円だったため還付請求を行いました。その結果、発掘費用の8割にあたる1,700万円が評価額から減額されました。

この場合の計算式は次のようになります。
7,900万円[埋蔵文化財包蔵地でないとした場合の相続税評価額] –1,700万円 [発掘調査費用相当額(見積額2,125万円の80%)] = 6,200万円[埋蔵文化財包蔵地の相続税評価額]

①初めての申告での評価額…7,900万円
②見直した後の評価額…6,200万円

それぞれの土地にかかる相続税額は…
①税率30% 7900万円×0.3=2,370万円
②税率30% 6200万円×0.3=1,860万円

その差額として510万円が還付されます。
2,370万円-1,860万円=510万円

なお、地域や場所によって発掘費用は異なりますが、1㎡あたり3万円~10万円程度であることが多いようです。

高い評価のまま申告してしまった場合には

相続税申告を済ませた方の中には、埋蔵文化財包蔵地であることを知らず、高い評価のまま申告してしまっているケースがあります。
この場合、被相続人が亡くなってから5年10ヵ月以内であれば申告内容を修正することが可能で、払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。

発掘調査費用の控除が受けられる要件

土地評価の減額ができる(発掘調査費用の控除が受けられる)のは、下記の3つの要件に該当することが条件となります。

要件1:対象地に埋蔵文化財があると確実視されていること

埋蔵文化財包蔵地とは、石器や土器、埴輪(はにわ)などの文化財が地中に埋もれている土地のこと。そのため、地中にあるものが文化財と認められない場合は、減額補正の対象外となります。

要件2:発掘調査費用を土地の所有者が負担すること

埋蔵文化財包蔵地の土地評価では、発掘調査費用(見積額)の8割が控除されますが、これは発掘調査費用を土地の所有者が負担することを考慮したものです。
発掘調査には「試掘調査」と「本発掘調査」があり、費用負担は市区町村によって異なります。発掘調査が公費で賄われ、土地の所有者が費用を負担しない場合には控除が適用されません。

要件3:路線価に埋蔵文化財包蔵地であることが加味されていないこと

路線価は、標準的な土地に対して用いられる、路線(道路)に面している土地の1㎡あたりの評価額のこと。対象地の周囲が埋蔵文化財包蔵地である場合、ごく稀なケースとして路線価に埋蔵文化財包蔵地の減額が加味されていることがあり、そうした場合には、減額補正の対象外となります。

相続税申告で損しないために

専門的な知識が求められる相続税申告のなかでも、土地の評価はとても複雑で、税理士が担当した場合でも多くの過払いが生じていることをご存じでしょうか。
当社は相続税専門の税理士事務所として、土地評価においても減額累計170億円の実績を持ち、評価させていただくすべての土地に対して、この埋蔵文化財包蔵地に該当しているかどうかの調査を必ず行っております。

埋蔵文化財包蔵地まとめ

  • 埋蔵文化財包蔵地で土地開発を行う場合、発掘調査を行い、土地の所有者がその費用を負担する
  • 埋蔵文化財包蔵地内の土地の評価額は、発掘調査費用の分だけ減額できる
  • 要件を満たせば発掘調査費用の8割が控除される
  • 埋蔵文化財包蔵地の確認は、教育委員会の「遺跡地図」や「埋蔵文化財包蔵地図」、市区町村のHPなどで確認できる
  • 高い評価のまま相続税申告してしまった場合、被相続人が亡くなってから5年10ヵ月以内であれば、申告内容を修正して過払い分を返金してもらえる

押さえておきたい相続税の知識

申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です

  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • ①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
  • ②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
  • ③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
  • 相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。
    払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。

    相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。

    特に不動産・土地を相続する方はご注意ください

    相続税は、累進課税方式です。つまり、受け継ぐ相続財産が多くなるほど負担が増える仕組みになっています。
    そのため、不動産などの相続財産を、税理士がどう評価するかで、支払う相続税額が大きく変わってくるのです。

    当税理士法人は、国内トップクラスの相続税の還付実績で培った知識と経験から、1つ1つの土地に適した評価を早く正確に行います。
    こうした適正な土地評価が、大きな相続税の節税につながります。

    今後の相続に備えたい方、相続が発生した方は、遠慮なく当税理士法人にご相談ください。
    初回の面談相談(約1時間)を無料にて実施しております。オンラインに対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談、ご依頼いただけます。

    相続税専門の岡野雄志税理士
    この記事の監修者
    相続税専門の岡野雄志税理士

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    岡野相続税理士法人
    代表税理士 岡野 雄志

    税理士・行政書士
    1971(昭和46)年生まれ
    千葉県成田市出身
    千葉県立佐倉高等学校卒業
    早稲田大学商学部卒業

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。 2001年、30歳で税理士試験合格。 2005年、34歳の時に、相続税専門の税理士事務所(現・岡野相続税理士法人)を開業。 個人事業時代に、1,900件以上、累計154億円の相続税還付に成功し、日本一の実績を立てる。 2022(令和4)年に税理士法人化。 新横浜、東京駅、新宿の3拠点にて営業している。 特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。

    現在までに累計3,000件、200億円の相続税還付に成功する。 全国各地の相続税申告・還付を累計5,930件(2026年4月末時点)以上手掛ける。 著書に『土地評価に強い税理士に頼んだら相続税がビックリするほど安くなりました』(岡野雄志/舟田浩幸 著、株式会社あさ出版刊)、「相続税専門税理士が教える 相続税の税務調査完全対応マニュアル(幻冬舎刊)」など6冊。 相続税関連の執筆や各種メディアから取材実績として、「週刊ダイヤモンド」「週刊現代」等。 ウェブメディア「ダイヤモンドオンライン」「幻冬社ゴールドオンライン」など多数。

    相続税を専門に取り扱う税理士法人の代表。
    全国各地の相続税申告・還付を累計5,930件(2026年4月末時点)以上手掛ける。
    特に土地の評価を得意とし、不動産相続の実績は業界でもトップクラス。
    相続税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

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