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相続税の申告が必要になる人が大幅に増加!平成27年度税制改正を徹底解説

2018年04月09日

平成27年の税制改正により、相続税の課税対象者が増えます。今までは「お金持ちの税金」というイメージのあった相続税ですが、この改正により、これまで相続税とは縁のなかった方も課税対象になる可能性があります。

ここでは、平成27年1月1日施行の「相続税の改正」について詳しく解説します。特に「基礎控除額の引き下げ」「最高税率の引き上げ」の二点の解説に加え、納税者の負担が軽くなる改正点などについてもご紹介します。

税制改正の重要ポイントを解説

基礎控除額の引き下げで課税対象増加!あなたも申告が必要かも!?

相続税の基礎控除は、いわば「相続税申告が必要かどうかの境界線」です。相続する遺産が基礎控除の範囲内に収まっていれば、相続税の申告は必要ありません。

今回の改正以前は、〈5000万円+法定相続人の数×1,000万円〉が基礎控除額とされていました。この基礎控除ですが、今回の税制改正に伴って大きく引き下げられました。平成27年1月1日以後の相続については、新しい基礎控除が適用されます。
新しい基礎控除額は改正前に比べて40%減額となる、〈3,000万円+法定相続人の数×600万円〉です。

今まで相続税とは関係のなかった人も、基礎控除の引き下げによって相続税申告が必要になる可能性が出てきたのです。

改正前と改正後では、どれほど相続税額が変わるのかを比較した例を挙げましたので、図1をご覧ください。

図1 税制改正による基礎控除額の変化

【遺産】6,000万円
【被相続人】母親 【法定相続人】息子2人
控除額課税対象額相続税額
従来7,000万円
(5,000万円+
1,000万円×2人)
0円
(6,000万円-
7,000万円)
0円
改正後4,200万円
(3,000万円+
600万円×2人)
1,800万円
(6,000万円-
4,200万円)
180万円

特に注意すべきは、都内に一戸建ての家を持ち、金融資産もあるような人です。
首都圏の地価は上昇し続けていますから、予想以上に土地や家屋の相続税評価額が高かった、ということも十分にあり得ます。
基礎控除額の引き下げによって、課税対象者は以前の1・5倍に膨らむといわれています。都内などに一軒家をお持ちの方は一度自分の財産の額を算出してみることをお勧めします。

最高税率の引き上げ

相続人にとって、さらに負担増となる改正点が「最高税率の引き上げ」です。
この改正によって影響を受けるのは2億円を超える財産を持っている場合ですので、いわゆる資産家が大きく影響を受ける部分となります。

改正前は、「法定相続分」に応ずる取得金額が1億円超~3億円以下の場合は税率が一貫して40%、3億円超はそこからどれだけ増えても50%でした。
ちなみに、「法定相続分」とは、民法で定められた割合に応じて財産を分けた場合の「各法定相続人の取り分」のことをいいます。
ところが改正後、法定相続分に応ずる取得金額が2億円超~3億円以下は45%、法定相続分に応ずる取得金額が6億円超の場合は、55%まで引き上げられたのです。(図2)

図2 相続人の取得金額にかかる税率

各法定相続人の所得金額税率【改正前】税率【改正後】
~1,000万円以下10%10%
1,000万円超~3,000万円以下15%15%
3,000万円超~5,000万円以下20%20%
5,000万円超~1億円以下30%30%
1億円超~2億円以下40%40%
2億円超~3億円以下45%
3億円超~6億円以下50%50%
6億円超~55%

出典:国税庁

相続税の納税は、申告期限(相続開始から10ヵ月以内)までに「金銭で一度に納める」ことが原則です。地主さんなど土地が財産の多くを占める場合、相続税の負担が増えた分、納税資金(現金)の準備で苦労する可能性が大きくなったといえます。

税制改正によるメリット

前述した「基礎控除額の引き下げ」や「最高税率の引き上げ」などは、納税者にとって不利な、いわば「増税」でしたが、その緩和措置として納税者の負担を軽減するための改正も設備されました。以下ご紹介します。

小規模宅地等の特例に関する改正

まずは「小規模宅地等の特例」に関する改正です。
「小規模宅地の特例」とは、一定の条件を満たせば、被相続人(もしくは被相続人と生計を一にしていた親族)の事業用や自宅用の土地の評価を減額できるというものです。

小規模宅地にはいくつか種類がありますが、今回改正があったのは、被相続人等の自宅の敷地が80%減額される「特定居住用宅地等」です。
「特定居住用宅地等」の適用可能面積について、改正前は240平米まででしたが、今回の改正で330平米(100坪)まで拡大されました(図3)。

また、改正により、居住用・事業用の宅地に対する減額を併用することも可能になりました。例えば、自宅のほかに自営業の店舗を持っている場合、自宅に330㎡、店舗敷地に400㎡で、合計730㎡まで80%の減額が可能となったのです。

ただし、小規模宅地等の特例を適用するには、一定の条件が設けられています。
例えば、特例の中でも居住用の条件を満たしているかどうかは、小規模宅地チャート(図4)でご確認ください。

図3 特例適用面積の拡大

小規模宅地等の特例適用面積の拡大

図4 小規模宅地チャート

スタート
①被相続人の自宅としていた土地だ
はい→②へ いいえ→③へ
②土地の取得者が配偶者だ
はい→特例適用 いいえ→⑤へ
③被相続人と生計を一にしていた親族が自宅としていた土地だ
はい→④へ いいえ→適用不可
④土地の取得者が配偶者だ
はい→特例適用 いいえ→⑦へ
⑤取得者が同居していた親族だ
はい→⑩へ いいえ→⑥へ
⑥被相続人に配偶者や同居している親族(相続人)がいない
はい→⑧へ いいえ→適用不可
⑦取得者が被相続人と生計を一にしていた親族かつ相続人であり、申告期限まで所有し居住している
はい→特例適用 いいえ→適用不可
⑧取得者が3年以内に持家※に住んだことのない親族だ
※取得者の配偶者の持家も含む
はい→⑨へ いいえ→適用不可
⑨申告期限まで所有している
はい→特例適用 いいえ→適用不可
⑩申告期限までに所有かつ居住している
はい→特例適用 いいえ→適用不可

老人ホーム入所に関する改正

改正前は、被相続人が老人ホーム等の施設に入所していることを理由に、自宅に住んでいなかった場合、自宅の敷地には小規模宅地の特例を適用することができませんでした。
しかし、平成26年1月1日以後の相続からは、条件が緩和され、老人ホームなどに入っていたとしても一定の条件を満たせば小規模宅地の特例を適用することができるようになりました。

なお、一定の条件とは、「要介護認定」または「要支援認定」を受けていた被相続人が、以下①~③次の住居または施設に、入居または入所していた場合を指します。

①認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームまたは有料老人ホーム
②介護老人保健施設
③サービス付き高齢者向け住宅

この①~③の施設に住んでいて、なおかつ自宅を貸付等に使用していなければ、自宅を空けていたとしても小規模宅地の特例を使えます。
また、障害支援区分の認定を受けていた被相続人が、障害者支援施設などに入所または入居していた場合も特例を適用することができます。

未成年・障害者控除について

未成年の相続人がいる場合は、その相続人が成人するまでの年数に応じて、相続税の額から一定額の控除を受けることができます。これも改正前までは20歳までの1年につき6万円の控除でしたが、改正後は10万円まで引き上げられました。

例えば、16歳の相続人がいた場合、20歳まで4年ですから、改正前だと24万円だった控除額が、40万円まで控除されるようになったということです。

また、相続人が85歳未満の障害者の場合も税金の控除が受けられます。この場合は85歳までの1年につき、改正前の控除額は6万円でしたが、改正後は10万円の控除となりました。また、特別障害者の場合は85歳までの1年につき12万円の控除から20万円に引き上げられました。

特別障害者とは、精神または身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする方のことを指します。具体的には障害者手帳身体1級または2級、精神1級、療育Aのどれかに当てはまる方などが挙げられます。

相続時精算課税制度の適用範囲が拡充

相続時精算課税制度とは、高齢者の資産を次世代へスムーズに移転することを目的として設けられた制度です。
この制度を選択すると、贈与を受けた財産のうち、2500万円分までは贈与税が非課税となり、2500万円を超えた額は一律20%の贈与税が課税されます。そして、相続が発生した際は、「生前に贈与された額」を、「遺産の額」に合算して、相続税の計算を行います。このとき2500万円を超えた贈与財産に課税されて納付した贈与税額は、相続税の計算の際に差し引くことができます。

税制改正によって、相続時精算課税制度の適用範囲が拡充されました。具体的には、「贈与をする側(=贈与者)の年齢制限」と「贈与を受ける側(=受贈者)の範囲」が緩和されました。

贈与者の年齢制限は、贈与をした年の1月1日において65歳以上と定められていましたが、改正後は60歳以上まで引き下げられました。
また、受贈者は「贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者」かつ「贈与を受けたときにおいて贈与者の推定相続人」であることが条件でしたが、税制改正によって年齢制限はそのままに、「孫」も受贈者として贈与を受けられるようになりました。この改正により、資産の運用や分散が早い時期から可能となったのです。

ただし、一度「相続時精算課税制度」を選択すると、その選択した年分以降は、「暦年課税制度」へ変更することができないので、その点注意が必要です。

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