相続税も新型コロナの影響で申告期限を延長!猶予も可能?

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相続税専門の税理士。創業16年で国内トップクラス1,690件の相続税の申告実績。119億円以上の相続税の減額実績。
岡野雄志税理士
岡野雄志税理士
相続税申告はコロナの影響で期限延長が可能

コロナの影響による「相続税の申告期限延長」の手続き方法や、申告期限はいつまでかなど、詳しく解説いたします。

コロナ禍の相続税申告期限を延長するには

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、外出を控えることによって国税の申告・納付を期限内に行えないという状況を鑑み、国税庁は期限を区切らず柔軟に受け付けることとしました。

通常、相続税は相続開始があったことを知った日(被相続人が亡くなられたことを知った日)の翌日から10カ月以内申告・納付するよう定められています。そして、この期限を過ぎれば延滞税などが課されてしまいます。

しかし、申告・納付期限の延長を申請することによって、こういったペナルティ課税を気にせずに充分な時間をかけて相続税の手続きを行うことができるのです。この延長申請は準確定申告にも適用できます。

まずは、令和2(2020)年4月(5月29日更新)に国税庁から公表された、『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』を見ながら、延長できるのはどんな場合か、またその方法などを確認していきましょう。

相続税申告の期限延長ができるケース

国税庁の『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』には、「どのような場合に個別延長が認められますか」という問いに対して、以下のようなケースが挙げられています。

  • 〇新型コロナウイルス感染症の影響により、相続人等がその期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、個別に申請していただくことにより期限の個別延長が認められます。
  • 〇このやむを得ない理由については、新型コロナウイルス感染症に感染した方はもとより、体調不良により外出を控えている方や、平日の在宅勤務を要請している自治体にお住まいの方、感染拡大により外出を控えている方など、新型コロナウイルス感染症の影響により、申告書を作成することが困難なケースなどが該当することになります。
  • 〇なお、個別の申請により申告期限等が延長されるのは申請を行った方のみとなり、他の相続人等の申告期限等は延長されませんのでご注意ください。

出典:相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ

注目したいのは、上記2番目の〇の内容です。相続人ご本人が新型コロナウイルスに感染した場合や分割協議を行っている親族が感染した場合はもちろん、「感染拡大により外出を控えている方」も対象になります。

例えば、「新型コロナウイルスに感染したくないから、外出が怖くて申請や納税ができない」「3つの密(密閉・密集・密接)を避けるため、親族が分割協議に集まれない」といった理由でも延長が認められるということです。

ただし、注意しなければならないのは、個別延長なので、3番目の〇にあるように「個別の申請」が求められる点です。相続人が何人かいる場合は、一人ひとりが延長申請をしなければいけません。

相続税の申告期限延長を申請する手続き方法

次に、『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』の、「個別延長する場合には、どのような手続きが必要となりますか」という問いに対する答えを見てみましょう。

  • 〇新型コロナウイルス感染症の影響により、申告期限までに申告・納付することが困難な相続人等については、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出していただければ、税務署長等が指定した日(やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内)まで期限が延長されます。
  • 〇なお、申請書の提出に代えて、申告等を行う際に、申告書等の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただいても結構です。その際、新型コロナウイルス感染症の影響による申告期限及び納付期限を延長する旨を以下の方法で申告書等に記載していただきますようお願いします。
  • 〇この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。

出典:相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ

相続税の申告・納税の延長をしたい場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記入し、管轄の税務署に提出します。「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、税務署に備え付けてありますが、国税庁のホームページからもPDF形式の書類がダウンロードできます。
【pdf】災害による申告、納付等の期限延長申請書

ここで気になるのが、期限についてです。「やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内という文言の、やむを得ない理由がやんだ日っていつのこと?」と、疑問に思う方も多いことでしょう。次の章では、この期限の疑問についてお答えします。

相続税の申告延長期限はいつまでか

万が一、相続人ご自身やほかの相続人である親族が新型コロナウイルスに感染されたのであれば、回復されて相続税申告や納付の手続きができるようになった日が、「やむを得ない理由がやんだ日」と判断することができます。その日から2カ月の延長が可能となります。

ですが、「新型コロナに感染するリスクを避けるため、外出を控えているから申告・納税できない」という理由の場合、いつを「やむを得ない理由がやんだ日」とすればいいのか、迷うところです。

政府も新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めに取り組んでいますし、医療現場や医薬品の研究・開発現場の方たちは日々、頑張ってくださっています。ワクチンは実用化に向けて動き始めていますし、治療方法もやがては開発されることでしょう。このコロナ禍も近い将来、収束すると信じたいところです。

しかし、それがいつかは誰にも予測がつきません。つまり、「やむを得ない理由がやんだ日=新型コロナが収束し、安心して外出でき、申告・納税ができる日」と考えると、判断が難しいところです。

そこで、注目したいのが、『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ』の

なお、申請書の提出に代えて、申告等を行う際に、申告書等の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただいても結構です。

出典:相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ

という一文です。

つまり、前もって延長の申請をしなくても、相続税の申告・納付を行う際に申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と書き込めばOKということです。

相続税申告コロナ延長書類

※国税庁 相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQを加工して作成

新型コロナ税特法による特例猶予とは

新型コロナウイルス感染症は、経済活動にも大きな打撃を与えています。コロナ禍で収入が大幅に減ってしまい、予定通り相続税が払えないという方もいらっしゃることでしょう。

そのような方々のために、国税の猶予制度として、『新型コロナ税特法』(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律)が、令和2(2020)年4月30日に成立・施行されました。

「無担保・延滞税なし」で「1年間猶予」

『新型コロナ税特法』では、特例猶予の要件と効果として、以下の内容が定められています。

  • ① 新型コロナウイルス感染症の影響により、
    令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等の収入が前年同期と比較して、おおむね20%以上減少しており、
  • ② 国税を一時に納付することが困難な場合、
    所轄の税務署に申請すれば、納期限から1年間、納税の猶予(特例猶予)が認められます(新型コロナ税特法第3条)。

特例猶予が認められると、猶予期間中の延滞税は全額免除されます。また、申請に当たり、担保の提供は不要です。

出典:新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ|国税庁

通常、相続税の延納には担保が必要だったり、利子税が課せられたり、納税が期限より遅れた場合は加算税や延滞税が課せられます。しかし、『新型コロナ税特法』による猶予制度を利用すれば、これらのペナルティは一切ありません。ただし、1年間の猶予期限より納税が遅れれば、通常通り延滞税や加算税が課せられます。

「1年間で資金が調達できるだろうか?」と、不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。猶予が認められたら、まずは手始めとして、相続税額や評価額について見直しされることをお勧めします。

過大申告していないか、利用し忘れている控除や特例はないか……などです。期限内であれば相続税の修正申告は何度でもできますし、見直しによって還付につながる場合もあります。

特例猶予を受けるための申請方法

「納税の猶予申請書(特例猶予用)」に必要事項を記入し、所轄の税務署に提出して申請します。申請書は以下の国税庁ホームページからダウンロードできます。

納税の猶予申請書(特例猶予用)(PDFファイル/882KB)

納税の猶予申請書(特例猶予用)(Excelファイル/92KB)

なお、申請書の記入方法は、以下の動画でも確認できます。

申請書の作成や提出が難しい場合は、国税局猶予相談センター(フリーダイヤル等)に相談すると、税務職員に口頭で内容を伝えることができます。その場合は、お手元に預金通帳や売上帳等の書類を準備しておくとスムーズです。

▼国税局猶予相談センター

スマホから電話される場合は、以下のQRコードを読み込むと、全国各エリアにある国税局猶予相談センターのフリーダイヤル一覧が表示されますので、電話番号をタップすればワンタッチでダイヤルできて便利です。
国税局猶予相談センターのフリーダイヤル一覧
【受付時間】8:30~17:00(土日祝除く)
国税局猶予相談センターのご案内
出典:財務省・国税庁【特例制度版】納税の猶予をご利用ください

ご自宅で相続税の手続きも可能です

延長や猶予をしなくても相続税の申告・納税ができる、いや、むしろ早く手離れしてしまいたい。…そんな方は、ご自宅のパソコンから相続税の申告ができます。国税庁も、新型コロナ感染拡大防止の観点から、e-Tax(イータックス)のご利用を推奨しています。

▼e-Tax 相続税の申告書がe-Taxで提出できるようになりました。

相続税の申告書がe-Taxで提出できるようになりました。| 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

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