分かりやすく解説、相続税の知識
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遺言に不安がある時役立つ「遺言信託」。作成費や執行報酬を節約するには?

公開日:2018/09/30
最終更新日:2020/07/01
相続税の知識
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岡野雄志税理士
岡野雄志税理士

円満な相続のために、「きちんとした遺言書」を作成しようと思われる方も多いかと思います。
ここでは、遺言を残す際の選択肢の一つになる「遺言信託」について解説します。

遺言信託にはどんなメリットがあるのか

遺言を実現させる「遺言信託」

遺言信託とは、信託銀行に遺言書の作成の相談や遺言書保管の依頼をしたり、実際に相続が発生したとき、遺言執行者として遺言の実現をフォローしてもらうサービスのことを指します。
費用はかかりますが、相続人の中に障害者や幼い子どもがいるなど、遺言内容の実現に不安が残る場合に、安心して亡くなったあとの手続きを任せることができます。

遺言信託の流れとしては以下です。

①遺言作成(公正証書遺言の場合)
事前相談→公証役場で打ち合わせ→遺言書の作成

②遺言補完
遺言書の保管→定期照会・見直し

③遺言執行時
遺言者死亡→信託銀行へ通知→遺言の執行(遺産分割・名義変更の手続き等)

デメリット

サービス内容に見合わない費用

遺言信託のデメリットとして、その高額な費用があげられます。ほとんどの銀行が行っているサービスですが、その相場をみると、たいていは遺言作成の段階で基本手数料として30万円前後の費用が発生します。(図1)そこに、さらに「遺言執行報酬」というものがついてきます。(図2)

図1 遺言信託の費用

三井住友信託銀行 三菱JFJ信託銀行 りそな銀行 みずほ銀行
基本手数料 324,00円 324,00円 324,00円 324,00円
遺書保管料 6,480円(年間) 5,400円(年間) 6,480円(年間) 6,480円(年間)
変更手数料 54,000円 54,000円 108,000円 108,000円
遺言執行報酬の
最低報酬額
1,080,000円 1,620,000円 1,080,000円 1,080,000円

図2 遺言執行報酬の料率(平成26年度7月14日現在)

三井住友信託銀行 三菱JFJ信託銀行 りそな銀行 みずほ銀行
自社預金等 0.324% 0.324% 0.324%
5000万円以下 2.160% 2.0% 2.160% 1.836%
5000万円~1億円 1.620% 1.5% 1.620%
1億円~2億円 1.080% 1.0% 1.080% 1.080%
2億円~3億円 0.864% 0.8%
3億円~5億円 0.648% 0.6% 0.540% 0.648%
5億円~10億円 0.432% 0.5% 0.432%
10億円~ 0.324% 0.3% 0.324%

遺言執行報酬は、遺産の額(通常は相続税評価額)によって計算されます。ただし、遺言執行者である信託銀行の預かり資産については軽減されます。
最低報酬額は大体どこの銀行も100万円ほどですが、遺産の総額が高いほど、遺言執行報酬の額も上がるので、最低報酬額からさらに加算される方もいらっしゃるでしょう。

また、遺言執行報酬には、遺産の額による料率とは別に、司法書士、税理士等への報酬などの費用も加わります。
さらに、遺言信託は一度支払えば完了するものではなく、サービスを開始してから実際に相続が開始するまでの間、毎年遺言書の保管料がかかります。
さらに、遺言内容を変更した際にも5万円以上の変更手数料を取られます。

特に多くの不動産を所有する地主の場合、登記変更費用などが通常よりも多くかかるため、総額で数百万円に上る可能性も大いにあります。

遺言信託は誰に頼むのが一番良いのか

弁護士や税理士に依頼してコストを節約

実際のところ、不動産の名義変更くらいであれば、銀行でなくても司法書士に頼めばしてくれます。わざわざ高いお金を払って遺言信託を利用するよりは、そちらのほうが、一件につき55万~10万円(目安)で済みますので、費用を大幅に節約することができます。

現在、銀行以外にも、弁護士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所、税理士事務所など、遺言信託サービスを提供している業者は多数ありますので、ご自分にあった相談先を検討されることをおすすめします。

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岡野 雄志

相続税専門の税理士。
早稲田大学商学部卒業。
2005年に神奈川県横浜市の新横浜に事務所を開設して以来、横浜に限らず全国各地の相続分野の案件を1690件以上手がけてきました。特に土地の評価を得意とし、相続税還付の実績は業界でもトップクラス。相続税に関する書籍の執筆にも力を入れているほか、各種メディアからの取材実績も多数あります。

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