「死亡後の預金引き出し」に関する相続法改正を解説

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相続税専門の税理士。創業16年で国内トップクラス1,690件の相続税の申告実績。119億円以上の相続税の減額実績。
岡野雄志税理士
岡野雄志税理士
死亡後の預金引出

「死亡後の預金引き出し」に関する相続法改正を解説します。

死亡後、預金は引き出しできない?銀行口座が凍結されたら?

相続法改正により、遺産分割協議前でも被相続人の預金を引き出しできるようになりました。

例えば、

・父(死亡)、母(死亡)、姉、妹の4人家族

・父は既に死亡しており、今回は母が死亡した

・母は銀行口座に300万円を残して死亡した

という状態で

・姉、妹が葬儀費用を捻出する等の事情により、母の預金を引き出したい

というケースを例に、「法改正後の現在、貯金から引き出せる上限の金額の計算方法」と、「法改正による、口座凍結後の貯金引き出しの変遷」について、詳しくご説明いたします。

引き出しできる預金額はいくらが上限?

「預金額の3分の1に法定相続分をかけた額」が引き出し出来る上限です。
※上記計算結果、150万円以上となった場合は150万円が上限となります。

例えば、上記の「被相続人に配偶者無し、子が二人」というパターンですと、法定相続分は、姉も妹も2分の1ですので、

300万×3分の1×2分の1=50万円
姉と妹はどちらも50万円を上限とし引き出し可能です。

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※金融機関ごとに法務省令で定められた上限金額が異なる場合があります。
※また、凍結されてしまう際の条件については異なる場合がありますので、詳しくは金融機関にお問い合わせください。

凍結を解除し、更に上限額以上の預金を引き出したい場合。
家庭裁判所に「保全処分」を求める、といった方法があります。

もしもその後の遺産分割協議において
姉の相続額が40万円(50万円)
妹の相続額が260万円
となった場合。

姉は10万円多く引き出している事になるので、妹が返還を要求する可能性もあります。
※「不当利得返還請求」と言います。

凍結の有無や引き出し可能な額を相続法の変遷

2016年12月以前

凍結される事無く、死亡した方の預金を引き出しできました。
つまり、口座が凍結され預金を引き出せないという事態は珍しかったのです。

死亡した母の娘2人(姉と妹)は法定相続分である2分の1ずつ、つまり150万円ずつ引き出しできました。
その際、死亡者の相続人である姉と妹は遺産分割協議を行う必要さえありませんでした。

2016年12月、相続法改正後。

最高裁判決により、姉と妹は「遺産分割協議」を行わなければ死亡後の母の預金を引き出しできないようになりました。
「遺産分割協議」を行い、必要書類を提出するまで口座は凍結されたままという事。
葬儀や介護施設への支払い等すぐに預金を引き出ししたい状況で、長らく凍結されてしまうのは非常に困ってしまいますね。
姉または妹が、生活費の捻出を母の預金に頼っていた場合においてはなおさらです。

改正後の現在(2018年9月時点)の相続法について

今回の法改正では上記凍結問題が緩和され、「遺産分割協議」をせずとも、
銀行に預金の引き出しを求められるようになりました。
※これを「仮払い制度」と言います。

ただし、上記の通り、死亡後に引き出しできる預金額には上限があります。

仮払い制度の際の必要書類は、一般的に、

  • 被相続人の除籍謄本や、戸籍謄本、全部事項証明書(出生から死亡まで連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本、または全部事項証明書
  • 貯金払い戻しを希望される方の印鑑証明書

等が必要となります。しかし、各種銀行ごとに、必要書類が異なる場合がありますので、各銀行の仮払い制度利用時の必要書類を確認することをおすすめします。

死亡後の相続手続きや銀行凍結においての預金引き出し等疑問点は、当事務所の税理士含む専門家に相談してみましょう。

「相続人を救う」という使命感を持って業務を行っています

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岡野 雄志

私たち岡野雄志税理士事務所は、相続税を専門に取り扱う税理士事務所です。人が亡くなったとき、遺族は故人の資産を税務署に申告し、相続税を支払います。しかし不動産などは資産価値の算定が非常に難しく、適切な調査や申告を行わないと、過剰な相続税を支払うことになりかねません。私たちが手掛けているのは、そうした苦労から相続人を救うこと。社会への使命感を持って業務を行っています。

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