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遺留分制度の見直し – 平成31年の相続法改正を解説

公開日:2019/03/20
最終更新日:2020/07/01
相続税の知識
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相続法改正の解説シリーズ第七回目の本日は、遺留分制度の見直しについて解説します。

遺留分制度の見直し

ポイント

(1)遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。
(2)遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。
※2019年7月1日(月)施行

現行制度

① 遺留分減殺請求権の行使によって共有状態が生じる。
← 事業継承の支障となっているという指摘
② 遺留分減殺請求権の行使によって生じる共有割合は、目的財産の評価額等を基準に決まるため、通常は、分母・分子ともにきわめて大きな数字となる。
← 持分権の処分に支障が出る恐れ

事例

経営者であった被相続人が、事業を手伝っていた長男に会社の土地建物(評価額1億1,123万円)を、長女に預金1,234万5,678円を相続させる旨の遺言をし、死亡した(配偶者は既に死亡)。遺言の内容に不満のある長女が長男に対し、遺留分減殺請求。

長女の遺留分侵害額
1,854万8,242円=(1億1,123万円+1,234万円5,678円)×1/2×1/2-1,234万円5,678円

遺留分減殺請求権の行使によって共有状態が生じている事例

(現行法)
会社の土地建物が長男と長女の複雑な共有状態に
・長男:9,268万1,758/1億1,123万
・長女:1,854万8,242/1億1,123万

会社の土地建物が長男と長女の複雑な共有状態になっている

改正によるメリット

① 遺留分侵害額請求権の行使により共有関係が当然に生ずることを回避することができる。
② 遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与えたいという遺言者の意思を尊重することができる。

(改正後)
遺留分侵害額請求によって生じる権利は金銭債権となる。同じ事例では、長女は長男に対し、1,854万8,242円請求できる。

遺留分侵害額請求権の行使により共有関係を回避することができた改正後

相続法の見直しの経緯

2018年(平成30年)7月に、相続法制の見直しを内容とする「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と、法務局において遺言書を補完するサービスを行うこと等を内容とする「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立しました。

民法には、人が死亡した場合に、その人(被相続人)の財産がどのように継承されるかなどに関する基本的なルールが定められており、この部分は「相続法」などと呼ばれています。

この相続法については、1980年(昭和55年)に改正されて以来、大きな見直しがされてきませんでした。
一方、この間、我が国における平均寿命は延び、社会の高齢化が進展するなどの社会経済の変化が生じており、今回の改正では、このような変化に対応するために、相続法に関するルールを大きく見直しています。

具体的には、
(1)被相続人の死亡により残された配偶者の生活への配慮等の観点から、
1. 配偶者居住権の創設
2. 婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

(2)遺言の利用を促進し、相続をめぐる紛争を防止する観点から、
1. 自筆証書遺言の方式緩和
2. 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)

(3)その他、預貯金の払戻し制度の創設、遺留分制度の見直し、特別の寄与の制度の創設などの改正を行っています。

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岡野 雄志

相続税専門の税理士。
早稲田大学商学部卒業。
2005年に神奈川県横浜市の新横浜に事務所を開設して以来、横浜に限らず全国各地の相続分野の案件を1000件以上手がけてきました。特に土地の評価を得意とし、相続税還付の実績は業界でもトップクラス。相続税に関する書籍の執筆にも力を入れているほか、各種メディアからの取材実績も多数あります。

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