相続税の申告をしないとバレて大変なことになる?

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相続税専門の税理士。創業17年で国内トップクラス2,221件の相続税の申告実績。135億円以上の相続税の減額実績。
岡野雄志税理士
岡野雄志税理士
相続税申告しないと税務夜が来る?

人が亡くなると、その人が遺した財産を引き継ぐことになります。その時、一定の額に課せられる税金が相続税です。相続税の申告をしないとどうなるのでしょうか。

相続税申告義務の有無の連絡が、税務署からくるとは限りません。ここでは申告する人としない人の境界線と、申告しないとどうなるのかをわかりやすく解説します。

相続税の申告が必要な人とは

遺産額から基礎控除を差し引いたときに、プラスで残る金額がある相続人は、相続税の申告が必要です。
つまりマイナスの場合は、申告する必要はありません。

基礎控除額とは?

相続税の申請の有無の基準となる一定の額のことを「基礎控除額」といいます。

基礎控除額は
3,000万円+600万円×法定相続人の数
の計算式で求めることができます。

法定相続人の数によって金額が変わります。

基礎控除額の具体例

父親が亡くなって、相続人が息子2人の場合
父親の財産として預貯金とローンの残った高級車、土地家屋が二人の息子に残されました。母親はすでに亡くなっています。したがって、法定相続人はこの息子2人となります。

この例を、基礎控除額の計算式にあてはめると
3,000万円+600万円×法定相続人の数(2)
となるので、基礎控除額は4,200万円となります。

→父親の財産がこの4,200万円を超える金額であれば、超えた分に相続税が発生するので申告しなければなりません。
→父親の財産が4,200万円を超えなければ、相続税の申告は必要ありません。

課税財産とは?

相続人が相続や遺贈などで得る財産の合計額(課税遺産総額)のことで、

  • 相続によって得た財産(遺産総額)の金額
  • 相続時精算課税の適用を受ける財産の価額
  • 相続開始前3年以内の贈与財産

を合計したものになります。
ここから債務(ローンの残金など)、葬式費用、非課税財産(墓石、仏壇など)を差し引いて、遺産額を算出します。
さらにここから基礎控除額を差し引いても残る金額に相続税が発生します。

相続税の申告が不要な場合は?

相続税の申告の有無は、相続財産が基礎控除額を上回るかどうかで決まりますが、相続税がゼロになるような場合でも、相続財産が基礎控除の額を超えている場合は、申告が必要となります。

相続税がゼロになるような場合とは?

配偶者の税額軽減の制度(配偶者控除)や小規模宅地等の特例といったさまざまな軽減措置を利用した結果、相続税がゼロになる場合があります。しかし、そうした措置を講じてもなお、基礎控除の額を越えている場合、申告は必要です。
この場合申告しないと、無申告課税が課せられます。

相続税はかからないのに申告は必要?

相続人は税務署へ相続税がゼロになる理由を知らせなければなりません。以下の理由で相続税がゼロとなる場合、相続税の申告が必要となります。

配偶者の税額軽減による場合

相続税には「配偶者の税額軽減」という特例があり、配偶者が得た遺産額が、配偶者控除を適用して算出した金額以下の場合は相続税がゼロになります。この特例を使用する場合、税務署に「配偶者の税額軽減」を適用することを申告しなければなりません。

配偶者の税額軽減を利用すると、配偶者は1億6千万円控除されます。この優遇規定を利用した場合、相続税がゼロであっても申告が必要になります。
配偶者の税額軽減には優遇規定のほかにも適用に細かいルールがありますので、自分で申告する時は特に注意が必要です。

小規模宅地等の特例による場合

被相続人や同一生計親族の事業用や居住用として使用している宅地で、一定の要件を満たしている場合、評価額を減額するという特例があります。

こちらも税務署に「小規模宅地等の特例」を適用することを事前に申告すると、居住用として使用している宅地の評価額が減額されます。この優遇規定を利用すると、不動産評価額を最大80%減額できることがあります。

この小規模宅地等の特例には優遇規定のほかにも適用に細かいルールがありますので、自分で申告する時は特に注意が必要です。

「広大地評価」を利用する場合

大きな土地を保有している場合に適用できる特例があり、小規模宅地等の特例と同様に事前に申告が必要です。
ただし広大地評価は要件が複雑なため、自分で判断するには難しい部分があります。

特例を利用するときの注意点は?

相続税を軽減する特例の優遇規定を利用するには、だれがどの財産を相続するかの取り決め(遺産分割)を終えていなければ利用することができません。

相続税の申告期限は相続の発生を知ってからわずか10か月。この間に遺産分割が終わっていなければ、優遇規定は適用できません。適用を受けるのなら、事前に課税相続財産を把握している必要があります。

申告義務を怠ったらどうなるの?

申告義務を怠ると、ケースによって以下のペナルティが課せられます。
・無申告加算税
・重加算税
・延滞税

無申告加算税とは

正当な理由がなく、相続税の申告を期限までにしなかった場合に課税される税です。

申告期限後に自主的に申告した場合は追加納付した税金額の5%を無申告加算税として支払わなければなりません。
申告期限から1ヵ月以内に申告した場合は、申告期限後でも無申告加算税は課税されません。

これが自主的ではなく、税務調査により相続税を申告していないことが判明した場合、期限後に申告しても、追加納付した税金額の15%を無申告加算税として支払うことになります。この追加納付税額が50万円を超える場合、超える部分に対して20%の無申告加算税が課税されます。

重加算税とは

相続財産を故意に隠した、あるいは偽ったりした場合に課税される税です。相続税の申告で、申告書の内容に隠ぺいや仮装がある場合、追加納付した税金額の35%が課税されます。

加えて、相続税申告を意図的におこなっていなかったとみなされた場合は追加納付した税金額の40%が重加算税として課税されます。ただ、相続税申告を期限までにできなかった正当な理由がある場合は重加算税ではなく無申告加算税が課税されます。

また、相続財産が不足していたのは意図的でないとみなされた場合、過少申告加算税が課税されます。

延滞税とは

相続税を期限後に納付した場合に課税される税です。納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて、利息に相当する金額が延滞税として課税されます。
申告期限までに申告も納税もおこなっていない場合、延滞税に加えて無申告加算税も課せられます。

相続税にかかる延滞税の税率は2段階で設定

相続税の延滞税は、延滞期間が2ヶ月以内か、2ヶ月以上かで税率が変わります。
また、延滞税の税率は、毎年変動があるので、注意が必要です。

延滞期間2ヶ月以内 延滞期間2ヶ月以上
令和3年1月1日~令和3年12月31日 年2.5% 年8.8%
平成30年1月1日~令和2年12月31日 年2.6% 年8.9%
平成29年1月1日~平成29年12月31日 年2.7% 年9.0%

延滞税は納付が遅れれば遅れるほど、どんどん膨らんでしまいます。納期限から2ヶ月を超えると税率が3倍近くに達してしまいます。
したがって1日でも早く納付することが大切です。知らなかった、は通用しませんし、気づいたときには延滞料がとんでもなく増えてしまっていることもあり得るのです。

申告期限の延長は可能?

相続税法27条・33条「被相続人(故人)が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」と定められている相続税の申告期限。納付ですから、申告だけでなく、期限内に原則として現金で納付もしなければなりません。

これを過ぎると遅延税が発生するのですが、遺産のすべてを把握するのだけでも10か月は短期間でかなり厳しいと言えます。申告期限を延長することはできないものなのでしょうか?
相続税の期限は、「特別な事情」がある場合には、申告期限の延長を申請できるとされています。

延長が認められれば最大2か月間、申告期限を延ばすことができます。ただ、延長の申請自体は、申告期限内に行う必要がありますので、注意が必要です。

延長のための「特別な事情」とは?

国税通則法では「災害その他やむを得ない理由」がある場合には、申請することにより期限の延長を法律上、認めています。
地震や台風など、自然災害のほか、昨年からは新型コロナウイルスなどの感染症を原因とするさまざまな影響も「やむを得ない理由」に該当するため、申告・納付期限の延長措置がとられています。「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の「被災状況」欄に、新型コロナウイルス感染症の影響により申告、納付等の期限の延長を申請する具体的な理由を記載する必要があります。

具体的には「新型コロナ感染の可能性がある事実」や、「外出自粛要請を受けている」等が考えられます。

延長期間は「やむを得ない理由」がなくなった日から2カ月以内

期限延長申請は、やむを得ない理由がなくなった日から2か月以内です。ただし、「やむを得ない理由」がなくなるということには客観的な基準はないため、申告書を作成・提出できるようになった時点で申告をすればいいということになります。

申告書提出日が相続税の納付期限

延滞税は1日遅れるだけでも発生します。したがって、納税申告書の提出日までに納税資金を準備しておく必要があります。
また、延長後の納付期限までに納税資金を準備できない場合には、納税の猶予制度を利用するという方法もあります。

税務署は見ている!絶対にバレる、悪意の無申告

国税庁は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的として査察制度を行っています。
相続税であってもそれは同じです。故意に脱税行為を行ったのでなければ、ペナルティなどを課すことはなく、納税に猶予期間を設けています。

もちろん、相続税の脱税がバレることを前提に行う人はいないでしょう。相続税の脱税は、故意に財産を隠し、隠し通せると考えたか、そもそも脱税行為かどうかも分からずに、結果的に脱税となってしまったかのいずれか。私たちには査察に来ないだろう、というのは認識が甘い―――相続税にもしっかり税務調査があるのです。

税務調査は「天網恢恢(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏らさず」

税務署は、相続税の申告書をすべて入念にチェックしています。相続人はもちろんのこと、被相続人である故人の財産もすべて調べ、適正な申告がされているかを確認しています。
そこで小手先の租税回避策や付け焼刃の相続税対策は、かえって粗が目立ち、脱税をもくろんだとみなされてしまいます。

というのも配偶者や子供名義の預金は一番に税務署員が目を付けますし、利己的な節税対策は自分以外には理解されず、自分が死んでからのち、それがために痛くもない腹まで探られたうえ、節税と理解していない親族からぼろがでてしまうということは実によくあることなのです。

税務調査に入られる前に

脱税行為には社会も非常に厳しく接します。ペナルティを課せられ、それをきちんと支払ったとしても失った社会的地位や信頼は取り返せません。そうならないためにも、相続財産について詳しく知り、正しく節税対策をとるべきです。

相続財産をつまびらかにする行為は非常に複雑でセンシティブな問題をはらみます。ここは「餅屋は餅屋」の理論で、相続税対策は相続専門の税理士にまかせた方が得策と言えるでしょう。

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