分かりやすく解説、相続税の知識
分かりやすく解説、相続税の知識

国内外の財産に対する相続税の基準が変更。日本に滞在する外国人の相続税の負担減

公開日:2018/05/02
最終更新日:2020/07/01
相続税の知識
タグ:

平成29年度税制改正によって、日本国内外の財産に関する相続税や贈与税の基準が見直されました。
改正の目的は主に以下の2つです。

一つ目は「課税逃れの防止」
二つ目は「外国人労働者の雇用推進」です。

課税逃れの防止

被相続人が亡くなって相続人が財産を相続するとき、相続人が海外に居住している場合、日本国内外のすべての財産、もしくは日本国内のみの財産に相続税が課されます。
国内財産のみに相続税が課される対象者を「制限納税義務者」といいます。なお、贈与税についても同じことがいえます。

国内財産のみに相続税が課される「制限納税義務者」を利用した課税逃れ

平成29年度税制改正前

平成29年度税制改正前

2017年3月31日まで「制限納税義務者」の対象となる条件は、「相続人(日本国籍)と被相続人(国籍を問わない)のいずれもが相続開始前5年以内に日本に住んでいないこと」、もしくは「相続人が外国籍で、被相続人の相続開始時点での住所が日本国外にあること」でした。

つまり、日本国籍を持っていても、被相続人と相続人が相続開始の5年以上前から海外に住んでいる場合、日本国外の財産に対する相続税(もしくは贈与税)は課されません。そのため、日本籍を持ちながら国外財産の贈与や相続を非課税で行えます。
また、相続人を日本国籍から外国籍にさせて、被相続人が生前贈与を行うことで課税を免れるケースも見受けられました。

「制限納税義務者」が限定され、国内外財産の課税対象が増えた

平成29年度税制改正後

平成29年度税制改正後

そのような課税逃れを防ぐためにも、平成29年度税制改正では、相続税と贈与税が国内財産のみに課される「制限納税義務者」の対象が狭くなりました。
国内財産と国外財産ともに相続税が課税される条件の、相続人もしくは被相続人が相続開始前に日本に住んでいた時期の範囲が、5年以内から10年以内に延ばされました。
そのために国内財産と国外財産への相続税(もしくは贈与税)の課税対象が増えることになります。

平成29年度税制改正による国内外財産に課税される相続税・贈与税のイメージ

平成29年度税制改正による国内外財産に課税される相続税・贈与税のイメージ

外国人が日本で働きやすくなる

国内財産のみに相続税や贈与税が課される「制限納税義務者」の対象範囲が狭くなったことによって、課税逃れを防止できるだけでなく、外国人が日本で働きやすくなるといったメリットが生まれました。

外国人が日本に住みづらい理由のひとつは相続税だった

以前の税制では、一時的に日本に住所を持つ外国人が日本で死亡した場合、国内財産と国外財産の両方が相続税と贈与税の課税対象でした。そのため、海外に住む遺族の相続税の負担が大きくなるケースが多く見受けられました。そのことが優秀な外国人労働者を日本で受け入れるときの障害になっていました。

改正によって一時的に日本に滞在する外国人の相続税負担が軽くなった

しかし、税制改正によって、一時的に日本に住む外国人は日本に住所を持っていないと見なされることに。そのため、本人や同居する家族、もしくは海外に住む家族が亡くなった場合、相続税や贈与税の課税対象は国内財産のみになりました。日本に駐留する外国人にとって、国外財産に対する課税がなくなったため、税負担が軽くなることが期待できます。

また、平成30年度税制改正によって、相続人と被相続人が長期的に日本に滞在する外国人であっても、一定の条件を満たしていれば国内財産のみに相続税(もしくは贈与税)が課されるようになりました。

一時的に日本に住む外国人の相続税や贈与税の負担が軽くなった結果、外国人が日本で働きやすくなる環境になることが予測されます。そのため、日本の企業では優秀な外国人労働者の雇用を行いやすくなるでしょう。
今回の税制改正は、外国人労働者の流入の円滑化をはかり、グローバル化する日本の社会情勢を視野に入れたものだといえます。

に関連する記事をもっとみる

この記事に関連する記事

2年続いた小規模宅地特例の見直しについて

相続税の小規模宅地等の特例の適用要件が、2年続けて施行された税制改正で厳しく見直されています。 平成…続きを読む

配偶者居住権の新設について

相続法大改正「配偶者居住権の新設」について 2018年7月6日、参議院の本会議にて相続法の改正案が成…続きを読む

横浜駅、川崎駅、新横浜駅などの主要ターミナル駅周辺の路線価が軒並み上昇

7月3日、国税庁から2017年分の路線価(1月1日現在)が発表されたことに伴い、神奈川県の主要ターミ…続きを読む

相続税を税理士へ相談なら、
相続専門の岡野雄志税理士事務所へ

岡野雄志税理士

相続税専門の岡野雄志税理士事務所

税理士

岡野 雄志

相続税専門の税理士。
早稲田大学商学部卒業。
2005年に神奈川県横浜市の新横浜に事務所を開設して以来、横浜に限らず全国各地の相続分野の案件を1000件以上手がけてきました。特に土地の評価を得意とし、相続税還付の実績は業界でもトップクラス。相続税に関する書籍の執筆にも力を入れているほか、各種メディアからの取材実績も多数あります。

相続税のことならお任せください

まずは無料のご相談・お見積りから

相続税のプロが応える
無料面談・電話相談
を実施中です。詳しくはこちら

国内外の財産に対する相続税の基準が変更。日本に滞在する外国人の相続税の負担減トップへ