【相続税をクレジットカードで払う】方法や注意点などを解説

相続税の申告時は何かと忙しいもの。「金融機関に行く時間がない」「納付時にお金をすぐ用意できない」などの理由から、相続税をクレジットカードで納付したいというお客様がいらっしゃいます。
平成28年に税法の改正があり、平成29年1月4日から国税の支払いにクレジットカードが使えるようになったため、相続税をクレジットカードで納付することができます。
そこで今回、相続税をクレジットカードで納付する際の条件や支払い方法、メリットや注意点などについて解説していきます。
- 目次 -
相続税をクレジットカード納付する際の条件
相続税をクレジットカードで納付することはできますが、納税額や使用できるクレジットカードの種類に制限があります。ここでは、クレジットカードで相続税を支払う際の条件について解説します。
相続税額が1,000万円未満であること
相続税をクレジットカードで支払う場合、1回の手続きで利用できる上限額が1,000万円未満と定められています。これは相続税と決済手数料を合わせた金額になるため、実質1回の手続きで利用できる上限額は約990万円となります。
クレジットカードの決済可能額以下であること
一般的なカードの場合10万円~100万円、ゴールドカードなどの場合50万円~300万円、プラチナカードなどの場合500万円までといったようにクレジットカードにはそれぞれのステージに応じて決済可能額(利用限度額)が設定されています。
相続税額が決済可能額を超えてしまった場合、納付手続きを複数回に分けて支払うことで、クレジットカードで相続税を納付することができます。
利用できるクレジットカードの種類
クレジットカードにはさまざまな種類がありますが、相続税(国税)の支払いにはこちらのクレジットカードが利用できます。
〈相続税(国税)の支払いに対応したクレジットカード〉
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
- TS CUBIC CARD
1度の納付手続きで複数のクレジットカードを利用することはできません。複数のクレジットカードを利用する際は、1度の納付手続きをクレジットカードの決済可能額以下の金額とし、分割して納付手続きを行い、それぞれの納付手続きでクレジットカードの情報を変更します。こうすることで、複数のクレジットカードで相続税を納付することができます。
相続税をクレジットカードで納付する方法
相続税をクレジットカードで支払う場合は、パソコンやスマホで「国税クレジットカードお支払いサイト」という専用のサイトにアクセスします。相続税をクレジットカード納付する手続きの流れは次の通りです。
- ご利用にあたっての注意事項の確認
- 納付情報(氏名・住所・納付する国税の税目や納付税額など、従来の納付書を作成するために必要な情報)の入力
- クレジットカード情報の入力
- 手続き内容の確認
- 納付手続きの完了(最終確認)
相続税をクレジットカードで支払う場合は、下記の専用サイト「国税クレジットカードお支払いサイト」で納付します。税務署や金融機関の窓口、コンビニでは、クレジットカードによる納付はできませんのでご注意ください。
「国税クレジットカードお支払サイト」はこちら
相続税をクレジットカードで納付するメリット
金融機関などに行くことなくパソコンやスマホで相続税を支払えるなど、相続税のクレジットカード納付には、さまざまなメリットがあります。
(1)24時間いつでも手続きができる
相続税をクレジットカードで支払いできる専用サイト「国税クレジットカードお支払いサイト」は24時間利用可能。つまり、インターネット環境が整っていれば、パソコンやスマホを使っていつでも相続税を支払うことができます。
(2)還元ポイントが付与される
クレジットカードを利用すると、ほとんどの場合、還元ポイントが付与されます。相続税のクレジットカード納付においても、カード会社の既定の還元ポイントが付与されます。そのいっぽう、クレジットカードでの納付手続きには決済手数料がかかります。
決済手数料としてかかる金額は、納付額1万円に対して83.6円(税込)。ポイント還元率が1%(1万円で100ポイント)以上なら、クレジットカードのポイント還元率のほうがお得になります。
(3)引き落としの期日まで支払日を伸ばせる
相続税をクレジットカードで納付した場合、決済日(カードを利用した日)が納付日となります。納税額が口座から引き落とされる「引き落とし日」は、決済日の翌月に設定されていることが多く、クレジットカード納付してからカード会社の既定の引き落とし日まで、支払い期日が伸ばせるというメリットがあります。
(4)分割払いやリボ払いにも対応
相続税をクレジットカードで納付する際、支払いを数回に分ける「分割払い」や「リボ払い」を選択することができます。これらを選択することで、1度の支払額を低く設定でき、納税額満額を納めるまでの支払期日をさらに伸ばすことができます。
相続税をクレジットカードで納付するデメリットや注意点
相続税をクレジットカードで納付するメリットに対して、クレジットカード払いのデメリットや注意点について解説します。
(1)納税額に応じて決済手数料が発生する
相続税をクレジットカードで納付する場合、納税額に応じて決済手数料が発生します。納税額が1万円までは83.6円(税込)、それ以降は納税額1万円増えるごとに83.6円(税込)が決済手数料としてプラスされていきます。
決済手数料は「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する委託会社の手数料となります。手続き処理を間違えてしまった場合など、納税額は戻ってきても、決済手数料は戻ってこないためご注意ください。
決済手数料がいくらになるかは、「国税クレジットカードお支払サイト」で簡単に試算することができます。
専用サイト:「国税クレジットカードお支払サイト」はこちら
納付税額 | 決済手数料(税込) |
---|---|
1円~10,000円 | 83.6円 |
10,001円~20,000円 | 167.2円 |
20,001円~30,000円 | 250.8円 |
30,001円~40,000円 | 334.4円 |
40,001円~50,000円 | 418円 |
※以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料として83.6円(税込)が加算されます。
(2)納税手続き完了後、サイト上では訂正できない
相続税をクレジットカードで納付する専用サイト「国税クレジットカードお支払いサイト」で、納付の手続きをする際、納税額を間違えて完了させてしまった場合などは、サイト上では訂正することができません。
納税手続きが完了した後で間違いに気づき、訂正したい場合は、住所地を管轄する税務署に出向いて訂正の手続きを行うことになるのでご注意ください。
(3)領収書が発行されない
「国税クレジットカードお支払いサイト」で相続税を納付した場合、領収書が発行されません。別請求で、納税したことを証明する「納税証明書」を入手できますが、手続きから発行まで3週間ほどかかります。
そのため相続税納付で領収書が必要な場合は、税務署や金融機関での納付をおすすめします。
(4)納税額の上限は約1,000万円
相続税をクレジットカード納付する際、金額の上限が手続き1回につき1,000万円未満と決められています。相続税と決済手数料をあわせて1,000万円未満となりますので、実質的な納付額の上限は1回につき約990万円となります。
納税額が1,000万円を超える場合、納付手続きを数回に分けることで納税ができますが手間がかかるため、メリットと比較して納付方法を決めることが大切といえます。
(5)利用限度額までしか納付できない
クレジットカード納付の上限額は、手続き1回につき1,000万円ですが、ご自身が利用されているクレジットカードには、カード会社が設定している利用限度額があります。
例えば、ご自身のクレジットカードの利用限度額が100万円の場合には、決済手数料を含めて100万円までの納付しかできません。
クレジットカードの利用限度額が低く設定されている場合は、事前にクレジットカード会社へ連絡し、利用限度額の引き上げをしておく必要があります(利用限度額の引き上げ設定はWebのユーザー画面からも行えます)。
相続税のクレジットカード納付はお得?
相続税をクレジットカードで納付すると「決済手数料」がかかります。これに対し、クレジットカードを利用すると「還元ポイント」が付与されますが、ポイントの還元率は各カード会社によって異なります。
また、国税の納付は、通常の利用とポイント還元率より低いケースもあるので、注意が必要です。
決済手数料と還元ポイントを比較してどちらがお得か、さらにクレジットカードで納付するメリットなども加味した上で、「クレジットカード払い」か「現金払い」かを選択されるといいでしょう。
〈カード会社のポイント還元率〉
- Visaのポイント還元率:0.5~2.0%
- Mastercardのポイント還元率:0.25~5.0%
- JCBのポイント還元率:0.3~5.5%
- American Expressのポイント還元率:0.5%
- Diners Clubのポイント還元率:0.4~1.0%
- TS CUBIC CARDのポイント還元率:1.0~3.0%
ポイント還元率1%の場合
納付税額 | 決済手数料(税込) | ポイント(還元率1%) |
---|---|---|
1円~10,000円 | 83.6円 | 1pt~100pt |
10,001円~20,000円 | 167.2円 | 101pt~200pt |
20,001円~30,000円 | 250.8円 | 201pt~300pt |
30,001円~40,000円 | 334.4円 | 301pt~400pt |
40,001円~50,000円 | 418円 | 401pt~500pt |
ポイント還元率0.5%の場合
納付税額 | 決済手数料(税込) | ポイント(還元率0.5%の場合) |
---|---|---|
1円~10,000円 | 83.6円 0.5pt~50pt | |
10,001円~20,000円 | 167.2円 | 50pt~100pt |
20,001円~30,000円 | 250.8円 | 100pt~150pt |
30,001円~40,000円 | 334.4円 | 150pt~200pt |
40,001円~50,000円 | 418円 | 200pt~250pt |
ポイント還元率5.5%の場合
納付税額 | 決済手数料(税込) | ポイント(還元率5.5%) |
---|---|---|
1円~10,000円 | 83.6円 | 5.5pt~550pt |
10,001円~20,000円 | 167.2円 | 550pt~1100pt |
20,001円~30,000円 | 250.8円 | 1100pt~1650pt |
30,001円~40,000円 | 334.4円 | 1650pt~2200pt |
40,001円~50,000円 | 418円 | 2200pt~2750pt |
納付税額が50,001円以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料として83.6円(税込)が加算されます。
仮に相続税納付額が500万円だった場合、決済手数料は41,800円(税込)となります。
ポイント還元率が1%の場合
504万1,800円の支払いに対し、付与されるポイントは50000ポイントとなります。
この場合、50000(ポイント)-42,800(円)=7,200円相当分お得といえます。
ポイント還元率が0.5%の場合
504万1,800円の支払いに対し、付与されるポイントは25000ポイントとなります。
この場合、25000(ポイント)-42,800(円)=-17,800円相当となるため、現金のほうがお得といえます。
ポイント還元率が5.5%の場合
504万1,800円の支払いに対し、付与されるポイントは275000ポイントとなります。
この場合、275000(ポイント)-42,800(円)=232,200円相当分とかなりお得といえます。
相続税の払い過ぎを無料査定します
相続税申告書の作成を「自分で申告した場合」や「相続税専門でない税理士に依頼していた場合」、相続税を払い過ぎていることがあります。
当社は国内屈指の相続税専門の税理士法人として、還付サービスをご相談いただいたお客様の8割以上で相続税の過払いを見つけ、平均して支払額の15% (1,000万円を支払った場合、150万円)を還付金として取り戻した実績があります(全国47都道府県すべての県で相続税を取り戻した実績があります)。
土地を相続し、相続税を500万円以上支払った人は、相続税過払いの可能性が高いため、納税後にぜひ当社にご相談ください。完全成功報酬制のため、相続税が戻ってこなかった場合は、お金の請求はいたしません。
相続税還付サービス/料金はこちら
相続税のクレジットカード納付まとめ
- 相続税をクレジットカードで納付する場合、1回の手続きの上限額が1,000万円未満
(これは相続税と決済手数料を合わせた金額のため実質的な上限額は約990万円) - 利用条件として、さらにお手持ちのカードの決済可能額(利用限度額)であること
- クレジットカード払いは決済手数料がかかるいっぽう、納税額に応じてポイントが付与される
- 相続税をクレジットカードで納付する際は、「国税クレジットカードお支払いサイト」から行う
- 相続税をクレジットカードで納付した場合、領収書が発行されない
相続が発生したら無料相談をご活用ください
相続が発生した方で1つでも当てはまる方は、まずはお気軽に相続税専門の当税理士法人にご連絡ください。
相続税を納税する必要がある
土地や不動産を相続した
相続税を出来る限り節税したい
後々の税務調査が心配
手続きに不安を感じている
なぜ9割の方が税理士に依頼をするか知っていますか?
10人中8人の相続税申告で知識不足による払い過ぎがあります。
5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生します。
相続税額と税務調査率は税理士により大きく変わります。ご自身で申告することを検討している方も、知り合いの税理士に依頼を検討している方も、必ず最初に経験と実績のある相続税専門の税理士に適正な判断を仰いでください。
相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。
相続に税理士は必要?相続税に強い税理士の選び方や料金の目安
【相続税申告とは?完全ガイド】控除や要否などを分かりやすく解説
不動産の相続に強い
相続税専門の税理士法人
創業17年の当社は、現在は従業員数90名を超える国内屈指の相続税専門の税理士法人です。年間約7,200箇所という土地評価で国内トップクラスの実績を持ち、不動産の評価額を最大限に抑えることが強みです。豊富な経験と高い専門性で適確かつ迅速に相続税案件をサポートいたします。
相続税申告が必要な方で相続した財産に不動産が含まれている場合には、ぜひ一度ご相談ください。
相続税申告サービスはこちら
すでに相続税を納付済みの方でも、相続日から5年10ヶ月以内の方は相続税の還付請求で取り戻すことが可能です。
相続税還付サービスはこちら
電話またはメールでお気軽にご相談ください
相続が発生した方は、遠慮なくご相談ください。当社では、初回の面談相談(約1時間~2時間)を無料にて実施しております。オンライン面談に対応しているので全国どこでも、海外からでもご相談いただけます。
岡野相続税理士法人
代表税理士 岡野 雄志
