預金を口座移動して相続財産が不明に|税務調査リスクを根拠資料で回避

ご相談の経緯・状況

被相続人であるお父様の口座から相続人様ご自身の口座へ、まとまった金額の預金を移していたため、相続税申告にあたり、相続人名義口座の預金のうち、どこまでがお父様の財産にあたるのかわからない状況でした。
 
相続人様は、お父様と同居し生活を共にされていたため、日常的にお父様名義の口座から生活費や医療費などを支払っていました。
 
しかし、お父様が亡くなられる半年前頃から、死後に口座凍結されることに不安を抱き、お父様名義口座から相続人様名義口座へ定期的に預金の移動を行っていました。
 
その結果、相続人様名義口座の入出金が増えて、お金の流れが複雑になり、このまま整理せずに申告すると、相続人様名義口座の残高について
「このお金は誰のものですか?」
「なぜこの金額を相続財産に入れた(入れなかった)のですか?」
と、税務調査で説明を求められるリスクが高いケースでした。
 

【相続財産の内容】
財産総額:1億7,000万円
<財産内訳>
預金:7,500万円
※預金内訳
・お父様名義口座の預金 5,000万円
・相続人様名義口座に移動した預金 2,500万円
有価証券 7,500万
生命保険 2,000万

【相続人】
被相続人の子ども:2人

【相続財産の内容】
財産総額:1億7,000万円
<財産内訳>
預金:7,500万円
※預金内訳
・お父様名義口座の預金 5,000万円
・相続人様名義口座に移動した預金 2,500万円
有価証券 7,500万
生命保険 2,000万

【相続人】
被相続人の子ども:2人


※ご紹介する事例は、実際に当社が関わった案件をもとに再構成したものです。個人情報保護のため、特定の個人が識別される可能性のある部分については、内容・金額等を一部変更しております。あらかじめご了承ください。

※ご紹介する事例は、実際に当社が関わった案件をもとに再構成したものです。個人情報保護のため、特定の個人が識別される可能性のある部分については、内容・金額等を一部変更しております。あらかじめご了承ください。

当社の対応

私たちが最初に行ったのは、「推測」ではなく通帳・取引履歴に基づいて事実を組み立てることです。

1 両方の通帳・取引履歴をお預かりし、お金の流れを“見える化”

• お父様名義口座
• 相続人様名義口座
この2つを突き合わせ、過去の入出金を時系列で整理。
どのタイミングで、いくらが移動し、何に使われたのかを一覧化しました。

2 ヒアリングで「目的」と「背景」を一つずつ確認

通帳の数字だけでは説明が足りないため、相続人様に
• 生活費の負担状況
• 医療費の支払い実態 等
を丁寧に伺い、説明として矛盾が出ないように背景を確認しました。

3 「相続人名義口座のうち、被相続人の財産に該当する金額」を確定

取引履歴とヒアリング内容を根拠に、“どこまでがお父様の財産として申告に入れるべきか”を明確にしました。

税務署に説明できる形で、無事に相続税申告を完了しました。

成果・結果

税務調査のリスクを根拠資料で回避

もし、相続人様名義口座に残っているお父様の財産を「分からないから」として申告に含めなかった場合、数千万円規模の申告漏れを指摘されても不思議ではない状況でした。
 
また、仮に申告に入れていたとしても、「相続人名義口座のうち、なぜこの金額が被相続人の財産だと言えるのか」を示す資料がなければ、税務調査時に説明が難しくなり、結果として申告漏れを疑われ、重加算税・延滞税などの追加負担につながるおそれがあります。
 
今回は、口座間の財産移動と支出を正確に整理し、説明可能な形で申告したことで、税務調査で問題になりやすいポイントを先回りして潰し、リスクを回避しました。

税理士からのひと言

被相続人と相続人の口座間でのお金の移動は、相続税の実務では税務署が確認しやすい代表的なポイントです。
 
特に同居して生活を共にしている場合、「生活費の支払い」「立替」「管理の都合」などが重なり、誰のお金なのかが曖昧になりがちです。
 
今回のケースは「親子間」でしたが、実務上は「配偶者間」でも同様に、財産の区分が難しくなりやすいです。
 
当社では、原則として過去5年分の通帳・取引履歴をお預かりし、お金の移動と支出を追って整理します。
 
通帳が手元にない場合でも、金融機関で過去10年分の取引履歴を取得できるケースが多いため、まずは状況を伺ったうえで、必要な手続きも含めてご案内します。


 
銀行口座の凍結について不安な方は、こちらの記事で詳しく解説しています。


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