広大地の評価(周りに比べて広い土地)
広大地の評価と減額ポイントについて具定例で解説しています。
広大地とは
主に市街地にあって、戸建住宅が何件も建つような広い土地のことです。
2018年相続分より広大地評価が廃止されます。詳しくはこちら
広大地の要件は次の3つです。
- ①その地域の標準よりも広い土地(目安として、三大都市で500㎡以上、その他で1000㎡以上)
- ②大規模な工場やマンションを建てるのに適していない土地
- ③戸建分譲を想定した時、新たに道路を作る必要がある土地
なぜ広大地が適用されると大幅に減額されるのか?
上図のように、一方のみ道路に接している土地があったとします。
調べてみると、この土地は次の条件に当てはまりました。
- 周りの土地に比べて広い
- 今現在、工場やマンションが建っていない
- これからマンションや工場を建てるのにも適さない
この土地で利益を得るため、新しく家を建てて売りに出そうとするとします。
その際、この土地は道路に接している部分よりも奥行きのほうが長いので、
下図のような開発イメージになります。
つまり、戸建ての売出しのために自分で道路を造らなければならず、
しかもその土地の部分は売ることができなくなります。
このように、広すぎるがために利益を得られない部分がある土地は
広大地といって、税務上大きな減額を受けることができます。
広大地が適用されると、土地の評価額が大きく減額されます。
その割合は、最大で65%減です。しかし、広大地評価は難しいものであり、綿密な調査と高い評価技術が必要です。
広大地評価の適用例
では、実際の広大地評価の適用例をご紹介します。
地図だけで土地を評価した場合
上の住宅地図は、東京都のとある市です。
赤枠の部分が対象地で、500㎡以上の土地です。
広大地の条件の1つに以下があります。
「戸建住宅を建てるとき、私設道路を造らなければならない」
地図を拡大して見ると、主要道路に接しているため、下の図のように①、②、③、④と戸建分譲ができるように考えられます。
このように、すべての戸建が道路に接していれば、新たに道路を造る必要がないので、広大地評価の適用はできません。
現地調査した上で土地を評価した場合
しかし、現地に行って調査してみると、対象地は下の写真のような場所でした。
主要道路とは接してはいるものの、壁があるため直接の出入りはできません。そこで、当税理士法人では、下図のような戸建分譲を想定しました。
壁があるため接している道路からは直接出入りができません。
そのため側道を利用することになりますが、②、③、④に出入りするためには新たに水色の部分の道路を造る必要があります。
これにより、次の広大地の条件のすべてに当てはまることになります。
- 面積(東京都なので、500㎡以上)
- 工場やマンションを建てるのに適していない
- 戸建を建てる際、新たに道路を造る必要がある
従って、この土地を広大地として評価できます。
次に土地の評価額がどれだけ違ってくるかを見ていきましょう。
相続税の節税実績
課税価格で、3,791万円の減額になります。
相続税の税率が30%の場合、約1,137万円相続税を節税できます。
【課税価格および相続税額の減少額】
(単位:万円)
相続税の節税実績 | 当初想定額 | 再評価後 | 減少額 |
---|---|---|---|
課税価格 | ¥8,468 | ¥4,677 | ¥3,791 |
相続税額(税率30%) | ¥2,540 | ¥1,403 | ¥1,137 |