【相続の相談は誰に?】手続きや税金、登記などの相談先を解説
「相続について専門家に相談したいけど、誰に相談するべき?」
「相続手続きの疑問を誰かに話をしたい。」
「家族が亡くなった。相続税の悩みを誰かに聞いて欲しい。」
相続は誰もが経験する可能性のあるものです。いざという時に備えて、誰に相談をするべきか知っておきたい、もしくはすでに相続が開始されており、専門家に相談したいと考えている方は多いでしょう。そこで、本記事では相続の相談について、誰に相談するべきか、詳しく解説します。
この記事を読めばわかること
- 1.相続の相談を誰にするべきか
- 2.各士業に相続時に相談できること
- 3.自治体や国税庁、税務署が実施する無料相談の使い方
- 4.相続税に強い税理士の選び方
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※手続きや計算方法など特定の税務論点への「無料の税務相談」は行っておりません。
目次
相続の相談は誰にすればいい?
家族が亡くなると相続が開始されますが、いざ相続に向き合ってみると誰に相談をするべきか迷う人が多いことをご存じでしょうか。人気の家計簿アプリ『おカネレコ』を運営するスマートアイデア株式会社では、同社アプリユーザーを対象に「相続に関する意識調査」を実施しました。半数近くの43.6%が「誰に相談すればよいか分からない」と回答したそうです。
出典:PR TIMES 家計簿アプリユーザー1529人に聞く<相続に関する意識調査>回答者の7割が「相続について家族で話し合ったことがない」、4割超が「誰に相談すればよいか分からない」
相続の相談は、法律の専門知識が無ければ上手に進められないことも多く、いざご自身が相続人となり問題に向き合ってみると、「どうしたらよいかわからない」と感じる方も多いようです。
相続の相談先|国家資格の専門家が適任
相続の相談は、相続に関しての専門知識を持つ「国家資格の専門家」が適任です。以下の5の士業を覚えておきましょう。
- 1.弁護士
- 2.司法書士
- 3.行政書士
- 4.税理士
- 5.不動産鑑定士
なぜ国家資格を持つ専門家がおすすめ?
この5つの専門家は、それぞれ相続分野において得意なフィールドを持っています。近年相続分野ではこうした士業以外にも「相続コンサルタント」や「相続アドバイザー」といった職業の人たちが、相続に関する業務を引き受けつつあり、広告も増加しています。
しかし、国家資格を有していないと、法律で定められた「独占業務」に携わることはできません。民間資格しかない者が「独占業務」を行うと法律違反です。せっかく高額の費用を支払い、相続コンサルタントなどの民間資格の方に依頼をしても、手続きを進める中で国家有資格者へ依頼が必要となります。
つまり、コンサルタント料やアドバイス料などが発生するため、直接専門家に相談するよりも高額の費用が発生するのです。相談先に迷ったら、まずは国家資格を持つ専門家が安心です。
各士業にどのような相談ができる?業務一覧表
資格名 | 管轄省庁 | 相続に関して可能な業務 |
---|---|---|
弁護士 | 法務省 |
|
司法書士 | 法務省 |
|
行政書士 | 総務省 |
|
税理士 | 財務省 |
|
不動産鑑定士 | 国土交通省 |
|
上記のとおり、士業によって相続に関する業務でできることは異なります。ご自身の悩みに沿って相談先を選びましょう。
相談先選びのポイント
士業の多くは「初回無料面談」を実施しています。誰に相談していいかわからない場合、無料相談の機会を生かして相談先を選定してみると良いでしょう。また、専門家にもいろんな事務所があります。ご自身に合った事務所に依頼するためにも、複数の専門家や事務所に会ってみることもおすすめです。
銀行への遺産整理業務依頼は注意|報酬が高額
近年、遺産整理業務に関しては積極的に銀行が相談に対応するようになっています。預貯金管理の関係などで銀行に行くと、声を掛けられる方もいらっしゃるでしょう。
特に信託銀行は、「銀行業務」だけではなく、財産を管理・運用する「信託業務」、遺言の保管や執行、証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などの「併営業務」も行っています。しかし、相続税申告や不動産登記などができるわけではありません。いざ専門家の力が必要なシーンが来たら、結局専門家に依頼せざるを得ないのです。
また、信託銀行に「遺産整理業務」を依頼すると、100万円前後の基本手数料のほかに、遺産の種類や評価額に応じて0.3~2%前後の手数料が掛かります。専門家に相談するよりも高額の報酬も発生するため、依頼は慎重に検討されることが大切です。
相続相談は自治体も対応している
多くの市区町村役場では、相続無料相談を実施しています。弁護士、司法書士、税理士など、各専門家と相続に関しての無料面談会を開催しています。
20分や15分など制限時間がかなり短く設けているケースが多いですが、まずは気軽に聞いてみたい方は、この機会を活用しましょう。
たとえば、横浜市では市民相談室(市庁舎3階)にて法律相談を実施しています。無料で弁護士や司法書士に相談できますが、専門分野を指定することはできないためご注意ください。相談日などは急遽変更されることもあるため、直接ご確認ください。
参考URL 横浜市 市民相談室(市庁舎3階)
■ 名古屋や札幌にお住まいの方へ
当法人の拠点がある名古屋市や札幌市にも、各自治体の無料相談会は実施されています。
・名古屋市 法律相談(予約制、面接のみ)
相続などの民事上の法律問題について、弁護士が、事案の解決方法等についての簡潔な説明を行う無料法律相談を実施しています。
参考URL 名古屋市 法律のことは
・札幌市
札幌市では相続についての法律相談や、相続税相談もできる税相談が開催されています。
参考URL 札幌市 市役所1階:市民の声を聞く課の相談窓口
無料相談を賢く生かすポイント
無料相談は制限時間があり、相談の途中で打ち切られることがあります。また、相談回数は上限が設けられていることがほとんどのため、何度も足を運ぶことができません。
無料相談を有効に生かす場合は、相談内容や、持参物を事前に確認しましょう。たとえば、遺産分割協議書の中身を見てほしい場合は、作ってある書類を持参されることがおすすめです。
参考URL 国税庁 面接相談の持参書類一覧
相続税の無料相談を国税庁や税務署にできる?
相続税相談は、国税庁や税務署も無料の相談窓口を設けています。
国税庁は「ホームページの相談コーナー」「電話で相談」、管轄の税務署でも「電話で相談」と「面談による無料相談」の計4つの方法があります。この4つの方法を詳しく解説します。
1.国税庁のホームページで調べる
悩みに関するキーワードを調べたい場合には、国税庁ホームページの『タックスアンサー(よくある税の質問)』がおすすめです。
「キーワードによる検索」「タックスアンサーコード一覧による検索」「科目別による検索」という3つの検索方法があります。相続税に関する一般的な疑問を解決できます。
2.国税局電話相談センターに相続税の無料相談をする
国税庁の『税に関する相談窓口』に電話をすると、相続税に関する無料電話相談が可能です。申告予定先の各都道府県にある国税局に電話します。音声案内に従って「1」を選択し、さらに相談する内容の番号を選択すると、国税局電話相談センターにつながります。
※聴覚障害者等電子メール相談窓口、聴覚障害者用ファクシミリ相談窓口もあり。
3.税務署に電話で相続税の無料相談をする
納付に関するご相談、税務署からのお尋ねに対する回答は、国税庁ホームページの『税務署の所在地などを知りたい方』で税務署の電話番号を調べ、音声案内に従って「2」を選択します。
税務署の受付担当につながった後、要件に応じて担当職員を呼び出してもらえます。
4.税務署に予約して相続税の無料相談をする
税務署の職員に直接相談したい場合は、相続税申告予定の税務署で職員による面接相談もできます。相談するのに充分な時間も取ってもらえますし、具体的な申告方法などもアドバイスしてもらえます。ただし、管轄の税務署へ電話による事前予約が必要です。
自分で調べるメリット・デメリット
国税庁ホームページや税務署での対面相談は無料であり、心強い味方です。直接公的な機関からアドバイスをもらえることはメリットと言えるでしょう。
しかし、書類作成の代行を依頼する、相続税申告を代行してもらうことはできません。また、新型コロナウィルスの時のように、社会情勢の変動により急遽面談が制限される場合もあります。税務職員に節税相談はできないこともデメリットと言えるでしょう。
相続税の無料相談は税理士事務所へ
相続税に関する相談を希望する場合は、「税理士」を選択しましょう。ここで、まずは税理士への報酬の相場を確認しておきましょう。
税理士報酬の相場
税理士の報酬相場は、遺産総額の0.5~1%とされていますが、報酬額は税理士によって、また専門性や業務内容によっても違います。明朗会計の税理士を選ぶことで、相談の段階から必要な費用が把握できます。
各地域の税理士会では無料相談会を行っており、無料で税理士と出会う機会が用意されています。もちろん、岡野相続税理士法人もご相談・お見積は無料です。相続税に関することはどうぞお気軽にご相談ください。
相続税を相談したい|税理士の選び方とは
相続税相談を求める場合に、相続税に強い税理士を見極めるためのポイントをお伝えします。
「相続税」のノウハウと実績があるかどうか
税理士にも得意分野・不得意分野があります。「相続税」の相談をするなら「相続税」を得意とする税理士を選びましょう。
実は、国家資格である税理士試験は、会計科目2科目と税法科目9科目で構成されています。このうち、会計科目の簿記論と財務諸表論は両方とも合格しなければならない必須科目で、税法科目の法人税法と所得税法はどちらか一方に必ず合格しなければならない選択必須科目です。
では、選択科目はというと、相続税法、消費税法は又は酒税法、固定資産税、事業税又は住民税、国税徴収法となっています。つまり、選択科目ということは、すべての税理士が相続税法について学び、合格しているとは限らないということです。
税理士試験の結果は、毎年、国税庁のホームページでも発表されます。令和元年度(第69回)税理士試験の結果は以下の通りでした。
令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)
区分 | 受験者数 | 合格者数 | 元年度合格率 | (参考) 30年度合格率 |
---|---|---|---|---|
科目 | ||||
簿記論 | 11,784 | 2,052 | 17.4 | 14.8 |
財務諸表論 | 9,268 | 1,753 | 18.9 | 13.4 |
所得税法 | 1,659 | 212 | 12.8 | 12.3 |
法人税法 | 4,260 | 627 | 14.7 | 11.6 |
相続税法 | 2,897 | 338 | 11.7 | 11.8 |
消費税法 | 7,451 | 884 | 11.9 | 10.6 |
酒税法 | 492 | 61 | 12.4 | 12.8 |
国税徴収法 | 1,677 | 213 | 12.7 | 10.7 |
住民税 | 410 | 78 | 19.0 | 13.5 |
事業税 | 392 | 58 | 14.8 | 11.0 |
固定資産税 | 868 | 119 | 13.7 | 14.9 |
合計 (延人員) |
41,158 | 6,395 | 15.5 | 12.8 |
出典:令和元年度(第69回)税理士試験結果|国税庁
上記の通り、選択科目の中でも合格率は最も低くなっています。また、相続税法の平均勉強時間は、選択科目の中でも最も多い500時間と言われています。税理士試験の中でも、相続税法はいかに難易度が高いかということです。
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相続税の基礎控除や配偶者控除の基礎知識に関して
遺産総額が、基礎控除額内の場合、相続税申告の必要はありません。相続税の基礎控除や配偶者控除に関しては下記リンクで詳細の説明しております。併せてご覧ください。
自分で相続税申告!気を付けるポイントや控除
まとめ
今回の記事では「相続の相談先」について、手続きや税金、登記などの相談先を中心に詳しく解説しました。相続税を相談する際の、税理士選びについても紹介しましたので、ぜひお役立てください。
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押さえておきたい相続税の知識
申告までの期限が短く、税務調査率が高く、納め過ぎが多い税金です
①被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告が必要。
②5件中1件が税務調査され、9割近い確率で追徴課税が発生している。
③過大な財産評価や特例適用の見落としが原因で、8割が納め過ぎです。
相続税申告の期限が短い上に税務調査率が高いことが理由で、たとえ税理士でも安全に過大に申告させてしまうのが相続税です。払い過ぎの場合、税務署は指摘しません。払い過ぎたことを相続人は気づかないままです。
相続税申告を税理士に依頼するか迷われている方はこちらの記事を参考にしてください。
相続税に強い税理士とは?遺産を守り、残せる専門家の選び方
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代表税理士 岡野 雄志
税理士・行政書士
早稲田大学商学部卒業
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