分かりやすく解説、相続税の知識
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平成30年税制改正による小規模宅地の特例の変更点は?

公開日:2018/09/12
最終更新日:2020/07/01
相続税の知識
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平成30年の税制改正では相続税分野の変更もいくつかありました。

その中で小規模宅地の特例にも改正点がありましたので、この記事では変更された箇所に焦点をあてて確認します。

小規模宅地の特例についておさらい

まず本特例の外観をざっと確認します。
本特例の適用があるのは以下の土地についてで、それぞれ決められた限度面積で相続税評価額の減額評価を受けることができます。

①特定居住用宅地等
②特定事業用宅地等
③特定同族会社事業用宅地等
④貸付事業用宅地等

上記の中で、改正点が発生したのは①と④の二つで、この度の税制改正によって適用の条件が厳しくなりました。

うち、まずは④の改正点から確認していきます。

変更点①:貸付事業用宅地等の適用条件の見直し

被相続人等の貸付事業の用に供される土地について、200㎡までを限度に50%の減額評価を受けることができるものですが、今回の改正では、相続開始3年以内に新たに貸付事業の用に供された土地については原則として適用を除外することとされました。

ただし相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合は例外として適用対象に入ります。

少しややこしいですが、相続発生の直前に一時的に現金を不動産に換えて相続税の減税を狙う手法が問題視されたため、相続発生に近接した時期に貸付事業を始めるようなケースを適用除外としたものです。

例えば相続発生の3年以内に土地を購入して賃貸業を始めたようなケースでは特例の適用を原則受けられないということになりますが、減税目的でなく純粋に不動産業を事業として行っているケースまで適用を除外してしまうのはよくありません。
そこで、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付業を行っている場合には、相続開始前3年以内に購入された土地についても適用除外とせず、特例の適用を受けられるようにしています。
事業的規模の判断についてはまだ明確な基準が出ていませんが、所得税の基準を準用するとした場合、戸建ての貸し付けであれば5棟程度、アパートやマンションであれば10室程度、駐車場としてであれば車50台程度の規模で事業を行っている場合には事業的規模と認めてもらえることになります。

このルール変更は平成30年の4月1日から適用があります。

変更点②:家なき子特例の適用要件厳格化

次に、特定居住用宅地等に関するルール変更について見ていきます。

この変更については世間で「家なき子特例」というワードで議論されることがありますが、それは変更前からの従来の適用条件の中に、以下のようなものがあったからです。

「相続開始3年以内に、対象土地の取得者が、本人またはその配偶者が所有する家屋(相続開始直前において被相続人が居住していた家屋を除く)に居住したことがないこと」

上記はすなわち、対象土地の承継者となる人物について、自身(配偶者含む)が所有する家がない=「家なき子」として捉えたものです。

被相続人の居住用に提供されていた土地について、被相続人と同居していない親族が当該土地を相続する場合において、この家なき子に該当するための条件が厳格化されました。
自分自身、そしてその配偶者だけでなく、「三親等内の親族」と「特別の関係がある一定の法人」が加えられ、これらの者らが所有していた家屋に相続開始3年以内に居住したことがある場合は適用対象から外されることになりました。

従来は、自分自身や配偶者名義の自宅が無いことが条件であったため、親族などに自宅を売却して自ら「家なき子」になるようにして無理やり適用を受けようとする手法が問題視されたためです。
上記の「特別の関係がある一定の法人」とは、特例の適用を受けようとする本人またはその配偶者、三親等内の親族、内縁関係者等、本人と近しい関係にある者が一定数以上の株式を保有するなど影響力を及ぼすことができる会社のことを指します。
自然人だけでなく、影響力のある会社に売却することで「家なき子」になろうとすることも封じるためです。

これに「相続開始時に居住していた家屋を、相続開始前に所有していないこと」という条件も加えられ、所有する家屋を事前に譲渡するなどして「家なき子」になることができなくなったのです。

この変更点も平成30年4月1日以降から適用があります。

ただし、平成30年3月31日時点において、変更前の家なき子要件を満たしている場合には、平成32年3月31日までに相続等で対象土地を取得する場合には特例の適用を受けられるなど一定の経過措置が講じられています。

家なき子特例がつかえなくなる例

この項では、特定居住用宅地等について、改正後に特例の適用を受けられなくなるケースを見てみます。

適用除外になる事例は色々と考えられますが、いくつか考えてみましょう。

相続財産の土地を孫に相続させることによって、家なき子特例に該当させようとするケース(孫から見て親は三親等内の親族なので、親が自宅を所有して一緒に居住していれば対象外になる)
対象土地を承継する相続人となる子どもが、自身が所有する自宅を誰かに売却し、以後はその家を借り受けて住み続けるケース
対象土地を承継する相続人となる子どもが、影響力のある会社に自宅を買い取らせて家なき子になろうとするケース
対象土地を承継する相続人となる子どもが、自身が所有する自宅を自身の子ども(被相続人からみて孫)に贈与して家なき子になろうとするケース

他にも色々と考えられますが、ご自身が家なき子特例になれるかどうかの判断は難しいこともあるので、相続対策を講じる際は相続税に詳しい税理士と相談しながら進めるようにしてください。

まとめ

今回は「小規模宅地の特例」について、平成30年の税制改正で変更になった点を見てきました。

大きく、貸付事業用宅地等と特定居住用宅地等についてルールが変更されたわけですが、制度の抜け穴をつくような手法で特例を利用することが封じられることになりました。
従来から、この特例全体のルールがそもそも素人の方にとって難しい上に、細かい変更が加えられたため余計に混乱してしまうことでしょう。

原則として平成30年4月1日から改正ルールの適用がありますが、一部経過措置が講じられているなど留意すべき点が多くあるので、改正について詳しく知りたい方は是非一度相続税に詳しい税理士に相談することをお薦めします。

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岡野 雄志

相続税専門の税理士。
早稲田大学商学部卒業。
2005年に神奈川県横浜市の新横浜に事務所を開設して以来、横浜に限らず全国各地の相続分野の案件を1000件以上手がけてきました。特に土地の評価を得意とし、相続税還付の実績は業界でもトップクラス。相続税に関する書籍の執筆にも力を入れているほか、各種メディアからの取材実績も多数あります。

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