養子も相続人に含まれる。節税になるがトラブルの原因にも…。事前に対策を考えて

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相続税専門の税理士。創業16年で国内トップクラス1,690件の相続税の申告実績。103億円以上の相続税の減額・還付実績。
岡野雄志税理士
岡野雄志税理士

養子縁組とは?養子縁組がなぜ節税になるの?

昔から相続税の節税対策として語られることの多い「養子縁組」ですが、本当に節税対策として有効なのでしょうか?また、デメリットは無いのでしょうか?

そもそも養子縁組とは?

養子縁組とは、実の親子関係にない人との間で、人為的に親子関係を発生させることをいいます。この関係によって構築された親子関係をそれぞれ、養親(ようしん)と養子(ようし)と呼称します。

最近では、子供を授からなかった夫婦が、子育ての喜びのために養子をもらうケースや、虐待のせいで実の親のところに戻れない幼い子を、実の親と切り離して養子にするケース等も増えてきています。

養子縁組は大きく2種類、普通養子縁組・特別養子縁組に分けられます。普通養子縁組とは違い特別養子縁組は、適切な環境におかれていない乳幼児を保護することを目的としています。特別養子縁組では、戸籍上でも養親が父・母と記載されます。また、実の親を亡くしてもその遺産を相続することができません。

養子となる者は原則6歳未満であることが定められていて、養親は結婚している夫婦で、25歳以上と20歳以上の二人でなければ特別養子縁組はできません。

養子縁組のメリット、節税スキームの解説

では、その養子縁組がなぜ相続税の節税に繋がるのでしょうか?それは、養子縁組によって、相続時の「法定相続人」の数が増えるからです。法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除額があがるため、結果的に相続税の節税に繋がります。
法定相続人とは、「被相続人が亡くなって相続が起こった際に遺産を相続する権利のある人」のことをいいます。法定相続人には養子も含まれます。

ただし、法定相続人としてカウントすることのできる養子の人数には制限があります。実子(被相続人と血縁関係あり)がいる場合は一人まで、実子がいない場合は二人までと定められています。
例外として、再婚相手の連れ子などの養子は、実子として扱われるので人数の制限はありません。

法定相続人が増えると、様々な観点から相続税の節税に繋がります。まず、法定相続人が増えれば、一人につき600万円の基礎控除額が増額します。
また、死亡保険金や死亡退職金の非課税枠が、法定相続人一人につき500万円ずつ増えます。

ちなみに税制改正以前は基礎控除額が1,000万円でしたから、資産家にとっては今よりも魅力的な節税対策だったわけです。

養子縁組で気を付けることとは?デメリットはあるのか?

そういったあまり言及されていなかった養子縁組のデメリットについてもお話をしたいと思います。
まず当然のことですが、法定相続人の数が多ければ多いほど、相続の争いは起きやすくなります。

例えば、配偶者がすでに死亡している被相続人に息子が二人いたとします。
その上で兄の子どもを孫養子として取った場合、相続人は兄・兄の子・弟の三人になりますので、弟が不平等感を持ってもおかしくありません。本来は権利がなかったはずの人が、法定相続人として血縁関係の中に入ってくるという状況は、相続が穏便に済まなくなる可能性を高くしてしまいます。

ちなみに、平成15年度の税制改正で、被相続人の孫が養子になる場合には、20%の税額が加算されることになっています。また、孫ではなく、嫁や婿を養子に取る場合もありますが、その場合さらに“争続(あらそうぞく)”になりやすいと言えます。

例えば、婿を養子にしたものの、その後、娘夫婦が離婚をしてしまった場合。
離婚をしたとしても戸籍上、娘の元夫が養子であることは変わりません。さらに養子縁組の解消には養親と養子双方の同意が必要です。縁組の解消ができないまま相続が発生してしまうと、遺産分割の際には、養子である娘の元夫が法定相続人として台頭してくるわけです。
連絡すら取っていない、親の面倒を見てくれたわけでもない、いわば他人が、遺産分割のときだけ現れ、分割協議に参加する。そのような事態が発生する可能性があるのが嫁・婿養子なのです(下図)。

養子縁組による法定相続人の増加

養子縁組による法定相続人の増加

たとえ遺言に「嫁・婿養子には遺産を残さない」と書いてあっても、最低限の財産保証である「遺留分」がありますから、本人が主張すればその分だけは相続せざるを得ません。

まとめ

節税対策としての養子縁組は、その後の人間関係に深い禍根を残しやすい方法です。よっぽど円満で、かつ分割方法まで明確に相続人全員の賛同を得ているような家庭でない限り、安易に養子縁組をするべきではありません。

そもそもの話をすれば、一代飛ばすこともなく、同世代が相続するということは、結果として後々の二次相続を考えるとあまり節税効果は見込めません。
もし、どうしても養子縁組を行いたい場合、基礎控除額の拡大が目的で、遺産を相続させる気がないのであれば、事前に遺留分の相続放棄の手続きをしておくなど、遺産分割の計画をしっかり立てておくことが大切です。

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岡野 雄志

早稲田大学商学部卒業。
2005年に神奈川県横浜市の新横浜に事務所を開設して以来、相続税申告や相続税還付、相続税の税務調査、生前対策など、横浜に限らず全国各地の相続分野の案件を1690件以上手がけてきました。
特に土地の評価を得意とし、相続税還付の実績は業界でもトップクラス。相続税に関する書籍の執筆にも力を入れているほか、各種メディアからの取材実績も多数あります。

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