【速報】平成30年度の税制改正大綱が発表されました! | 相続税専門の【岡野雄志税理士事務所】 | 横浜・神奈川

【速報】平成30年度の税制改正大綱が発表されました!

12月14日(木)、自由民主党・公明党両党より「平成30年度税制改正大綱」が発表されました。今回の発表に関して相続税におけるポイントは大きく2つ、「事業承継税制の特例の創設」「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」です。

そもそも税制改正大綱って何?

今回発表された「税制改正大綱」を作成したのは、自由民主党・公明党両党、つまり与党に設置されている「税制調査会」という組織です。
我が国における税制改正は一般的に、下記のような流れで進みます。
12月中旬:与党の「税制調査会」が「税制改正大綱」を発表
12月下旬:財務省と総務省が「税制改正大綱」をまとめる
1月上~中旬:「税制改正要綱」として閣議決定を受ける
2月下旬:「税制改正法案」国会提出
3月下旬:「税制改正法案」成立・公布
4月1日:「改正法」施行

税制改正大綱のポイント

今回の税制改正大綱のポイントは大きく2つです。

【事業承継税制について】
経営者の事業承継を促すための税優遇策として、事業承継税制に特例が創設されます。これまでも中小企業の経営者が後継者に非上場株式を譲渡する場合には、全株式の最大2/3に関して、相続税額の8割が納税猶予を受けられました。また、後継者が死亡もしくは次の後継者に株式を譲渡した場合等では、納税が免除されていました。
一見すると非常に有用な制度のようですが、実はこの事業承継税制の利用件数はわずか年間500件程度でした。諸外国に比べると、決して充分な猶予額とは言えませんでしたし、何より適用の要件が非常に厳しかったためです。特に「5年平均で8割の従業員を維持」という雇用要件には大きな反発がありました。景気の見通しのつかない中での雇用維持は、経営者にとって非常な負担だったからです。
こういった現状を打破するために、安倍政権下で軒並み株価が上昇したことを一つのきっかけとして、今回事業承継税制が見直されることになりました。

まず、納税の猶予対象が「全株式の2/3を対象に税額の8割」から「全株式を対象に税額の100%」に拡大されます。また、反発の強かった従業員の雇用要件も緩和されます。さらに、現行の税制では承継後に会社を譲渡・解散した場合、猶予時点の相続税を全額支払うことになっていますが、新税制では解散・譲渡時の企業価値に基づいて税額を再計算し、差額を減免することが可能です。
猶予を受けられる事業承継のパターンも拡大します。現行の税制では、1人の経営者から1人の後継者へ株式を譲渡する場合にのみ猶予が受けられますが、新税制では複数人が譲渡する場合や、逆に複数の後継者が譲渡を受ける場合であっても猶予の対象になります。

今回の特例は10年の時限措置として創設されましたが、10年間の時限立法が延長される可能性も充分考えられます。

【一般社団法人について】
「一般社団法人」を利用した節税スキームへの対策が強化されます。
現行法では、一般社団法人に移転した不動産などの財産には、基本的に贈与税及び相続税が課せられません。そのため、資産を持つ被相続人が法人を設立して役員に就き、その資産を移転して子供らに役員を継がせ、納税を免れるという手口が横行していました。
社団法人については、2008年の「公益法人制度改革」で大きく制度が変わり、特に「一般社団法人」は登記だけで簡単に設立できるようになりました。
一般社団法人の大きな特徴として、株式会社のように出資金や持ち分といった概念がないため、社員に相続が発生しても相続税が課されない、ということがあげられます。それを利用して、法人を隠れ蓑に親族間で資産を譲渡し、課税を逃れるというケースが多発していたのです。
今回の改正により今後は、親族が役員の過半を占めるような一般社団法人の場合、法人に移した財産も相続税の対象となります。

その他の改正

その他に、「農地等の納税猶予」と「小規模宅地等の特例」に関して細かな改正がありました。

農地等の納税猶予については、まず適用範囲が拡充されました。その一方で、猶予された納税が免除されるための要件である「営農継続要件」については、現行の20年から終身に延長されました。
小規模宅地等の特例に関しては、特例対象者が一部除外になりました。現行法では、子が親から宅地を相続する場合、たとえ子が親と同居していなくても子に持家が無ければ特例が適用できます。いわゆる「家なき子特例」です。
しかし、子が持家を親族らに贈与し、贈与後もその持家に住み続け、形式上は持家がないということにして特例を受ける、というケースが多数見受けられたため、対策が講じられました。新税制では、相続人が相続時に住んでいる家がもともと自分の持家だったり、親族が所有していたりする場合には、特例の適用が認められません。

また、国の重要文化財のうち個人が所有する美術品に対し、新たに相続税の納税猶予制度が創設されます。「博物館や美術館に長期寄託して公開する」等の要件を満たせば、美術品の課税価格の8割にあたる相続税に関して、納税が猶予されます。
個人所有の重要文化財は全国に多数現存していますが、うち約160点は、相続時の売却等が原因で所在が分からないそうです(2017年5月時点)。公開に消極的な所有者も多い中、文化庁としては、納税猶予で専門施設での適切な管理と公開を後押ししたい考えです。

まとめ

今回の「税制改正大綱」を読む限り、一部の例外を除いて全体的に増税と言えそうです。今後も極端な節税スキームは封じられていくでしょう。

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